雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

世界選手権のあった街

 土曜日、ヨーロッパ選手権が終わってから、世界選手権のあったニグラの街をでて、10kmほど先の隣町まで出かけた。この距離感覚、実際の距離はさておき、ツインリンクもてぎからもてぎの街までくらいに感じる。ヨーロッパは、とにかくクルマでの移動がスムーズだから、気持ちがいい。っていうか、日本ではどうしてクルマでの移動があんなにじれったいんだろう。快適に走れるようにするには、道路を作るだけじゃなくて、さまざまな交通環境を整えていかないといけないけど、日本にはいろんなものが足りないんじゃないかと、にわかヨーロッパかぶれは思うわけです。
 さて、そんでもってその隣町。ニグラの街は海岸があるだけのひっそりとした街だったけど、クルマで15分ほどの隣町は、すっかり観光地だった。

 ニグラから街まではずっと内海になっていて、湾はヨットハーバーみたいになっている。よく見ると、安っぽいボートもいっぱい係留されているんだけど、全体的には美しいヨットハーバーに見えるから不思議。
 これに限らず、ヨーロッパの人は、細かいところは汚かったり雑然としていたりするのに、全体をそれなりに美しくまとめてしまう能力を持っている。日本人は細かいところはとても美しいのに、全体がなさけないことが多い。個人的にニシマキの場合は、細かいところから手をつけて、全体をやりきれなくて挫折する。これは人として最悪のパターン。
 ヨットハーバーの写真の向こう岸に見えるのが、パドックのあるニグラだ。
 土曜日、ぼくらはスペインのソロモト誌のペップ・サガレスと飯を食おうと、この街へやってきた。ペップは、プレスオフィスで「うまいものを食うにはどこの店がいいか」をたずねていた。それででかけたのが「モスキート」というお店。モスキートって、英語だと思ってたけど、スペイン語らしいですね。イギリスには蚊はいなかったそうな。コロンブスがアメリカ大陸から持って帰ってきたお土産のひとつだろうか?
 お店にはライア・サンツご一行もいた。彼女はこの日のヨーロッパ選手権でお腹をひどく打ってさんざんだったけど、お話する限りは元気そう。
 この街にはモンテッサチームの他、日本からきたHRCのご一行も泊まってた。ペップが食事の前に観光につれてってくれたのは、彼らが泊まっているホテルそのものだった。

 なんとも時代がかったホテルで宿泊したOさんによると「値段が高いだけの古いホテル」つーことだけど、こんなところに一泊したら、中世の人になったような楽しい気持ちになれそうな気がする。ただし、世界選手権の取材やレース・サポートでやってきて泊まるようなところじゃないような気がします。
 階段にはよろいが立っていたりして、もしかして、夜中にホテル内をうろうろすると、なにかに出会えてしまいそうな気もするホテルだった。新婚旅行なんかにはよいかもしれないけど、一泊2万円くらいするって話だった。
 ここはホテルというより、もともとお城だったところ。だからよろいの兵隊さんが階段でオブジェになっているわけだが、外周を1周すると、周囲は外海がたたきつける岩がごろごろの海岸だった。なんと、この海岸ではスペイン選手権が開催されたことがあるという。熱海の海岸でトライアルやるより、もっと大胆な気がする。

 写真は、このへんがセクションだったよとペップに教えてもらったあたり。スペイン人のこの感覚だと、日本でだったら新宿御苑とか皇居とかでもトライアル大会をやってしまいそうで、恐れ多い。
 モスキートでのお食事は、魚介類の盛り合わせで幸せだった。ワインを2本飲んで(飲みすぎ)ひとり3000円弱。お腹いっぱいになったので少し歩こうと街の中をうろうろする。
 この日はマドリッド対バルセロナのサッカーの試合をやっていて、ペップは試合の行方が気になるようで、テレビのあるバーをのぞいて試合の展開をチェックしていた。
 そしたら、とあるパーで酒を酌み交わしていたのは、アモス・ビルバオやオスカル・ジローさんなど、モンテッサご一行さま。試合前夜、ヨーロッパのトライアル関係者は、リラックスな時間をすごしていた。彼らは直接選手じゃないにしても、試合を翌日に控え、さぼっているという感じじゃなくてこういう時間をすごせるというのは、なんだかくやしいのである。