雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

ベルドン・2日目

2日目、茅沼兄さんをのぞいた日本人5人とマリオ(部屋が同室なので、マリオは“7人のサムライ”と呼んで喜んでいる)がスタート。ぼくらにはあんまりピンとこないけど、日本人が7人集まれば(ひとりはイタリア人だけど)ヨーロッパのひとにはするりと黒沢映画のタイトルが思い浮かぶんだろう。

美しいTLR

マリオはトップ争いをしているので、けっこうシリアス。簡単なセクションが多いので苦悩な感じだけど、セクションが簡単なのはぼくにはうれしい。マリオも、マリオにとってよいセクションが、多くの参加者にとってよい設定とは限らないというのはわかっている。

マリオのライバルはイギリス人。話しかけられたけど、イギリス南部出身だという彼の英語はとてもわかりにくかった。ぼくらにとっては、アメリカ人やイギリス人の英語より、フランス人やイタリア人の英語のほうがわかりやすい。

本日の成績、並木さんが好成績で13位、トータルで16位につける。もちろんこれはベテランVという「おっさん平民クラス」での順位。マーカーは緑。このうえに青があって赤がある。赤はさしずめスーパークラスで、コロメとかカモッジが走るんだけど、若手ライダーもこれに加わる。下見をしていても、どこからオートバイが飛んでくるかわからないので、スリリングだ。茅沼さんによると、こんなうまい人たちといっしょに走れるなんて、なんて感動なんだ、ということだけど、すいません、世界のトライアルずれしているニシマキには、そういう感動は気がつきませんでした。

午後になって、ぼくはパンク。常々「パンクしたらめんどくさいからリタイヤします」と宣言していたけど、茅沼さんと七海さんに助けてもらった。ありがとうございます。でもその時はパンク穴は発見できずフランスで買ったボンベで空気を入れただけで(ボンベは日本からは持っていけない)、パドックに帰ってからちゃんとなおすことになった。

ガスガスには「なにかあったらカモッジに頼め」と言われていたけど、きのうはカモッジはそんな感じではなかった。ところがもしかするとカモッジがこの日記を読んだのか、今日はちょっとだけ親切にぼくのマシンの様子を伺ってくれた。舗装路で倒れたときに折れたレバーの交換をしていたら、カモッジがスパナを持って交換を手伝ってもくれた。

すぐ横がスコルパのパドックで、それを見ていたグレッグ(野崎のマインダーをやっていたこともあるスコルパのメカニック)が「カモッジがアシスタンスをしている!」とびっくりしていたから、これはきっとトピックスなのだろう。

でも「パンクもしてるんだよね」とおねだりしたら、ぐるりとタイヤをながめて「穴が見つからないから、時々空気を入れなさい」という診断になった。でもそれでは1時間も持たないというのがわかっているから、主催者のコンプレッサーでエアをぱんぱんに入れたら、ちゃんと穴が開いているのが発見された。またまた茅沼さんに助けてもらって修理は完了しました。

さてトライアル的勝負のほうは、ぼくは斉藤さんにてんで勝てないでいる。日々の成績は数ポイント差なのだけど、勝てません。斉藤さんはツーリングトライアルにはほとんど出たことがないというし、オートバイはトライアルしか乗ったことがないということで、いろんな意味で経験が浅い。ベルドン2度目のニシマキとしては負けてたまるかと思ったけど、もうあきらめた。

茅沼兄さんはあした、黒クラスを走る。マリオが兄さんの様子を見ていて、黒クラスへの変更を提案してきたので、厳しいのはコースだから、どこまで効果があるかなぁと思いつつも、提案を受け入れることにした。黒は新しくできたクラスだから、どんな印象だか、報告が楽しみ。

ぼくに圧勝している斉藤さんは、今ぼくがこの日記を書いている横で、足がつって苦しんでいる。そんなら、昼間もっと減点してくれればぼくはハッピーなのに、昼間は大和魂でがんばっちゃうんですね、これが。

夜、リザルトを見に本部まで歩こうということになったのだけど、いざ出発となったらマリオとぼくとしかいなかった。ほかの5人はみんなお疲れだ。「ぼくらは今回の最年少なんだ」とあらためて気がついて、ぼくとマリオは大笑いしながら、リザルトを見に本部までお散歩したのだった。

実はお散歩は、晩飯を食べ過ぎたので、健康のためという理由が大きい。マリオはたらふく飯を食ったあと、食べ過ぎたからちょっと運動しようといってよく散歩する。

そうそう、今日はステファン・ベテランセルとジル・ピカールに会ってちょっとだけお話をした。ペテランセルはご存知、2輪と4輪でパリダカを制覇したビッグネーム。ピカールはぼくがパリダカ取材をしていた頃にカジバで走っていたライダーだ。こういう畑違いの人とで再会できるのは、ヨーロッパの楽しみでもあります。日本では、トライアルの人はトライアル専門だけど、ヨーロッパでは、いろんな横のつながりがあるんですね。このクロスオーバーぶりが、ぼくは好きだ。

写真は、ぼくらのクラスのトップ争いをしているイギリス人のマシン。美しいTLR。