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藤波貴久は膝を手術

手術後の藤波

 2014年世界選手権が終了したと同時に、藤波貴久が膝を手術した。回復は3ヶ月から半年ほどかかるということだが、膝の故障と闘いながら戦った2014年シーズンとはちがう2015年シーズンが迎えられることが期待される。

 2013年9月、藤波は練習中に前十字靭帯断裂の大けがを負った。通常、この負傷は手術をして靭帯を生成するのだが(その手術はかつてはむずかしいものだったが、今では手術でかなりの回復が見込めるのが一般的だ)、手術をして安静にしていなければいけない期間が出るため、藤波は現役生活の維持を考えて、手術をしないで負傷を克服していく選択をとった。
 といっても、手術をせずになくなった靭帯が復活することはない。藤波がとったのは、ひたすら筋肉トレーニングをして、失った靭帯の代わりを筋肉にやってもらうことだった。もちろん筋肉はまるごと靭帯の代わりにはならない。靭帯が必要な瞬間に、筋肉が踏ん張って、関節が曲がってはいけない領域まで曲がるのを抑制させるわけなのだが、まず強靭な筋肉をつけなければいけないし、必要なときに必要なだけ筋肉が働かなければいけない。筋肉をつけたうえで、不意のアクションに対処できるような訓練も積まなければいけなかった。
 そうやって挑んだ2014年シーズンは、好結果だったのか、それとも不本意に終わったのか。復帰まもないインドアシリーズでは、表彰台には立てなかった。しかしアウトドアシーズンに入るや、開幕戦でいきなり優勝。ランキングトップに立った。その後、日本GPでも表彰台に上がり、膝の負傷もなんのそのと思わせたが、その後表彰台に乗れず、ランキングは5位。昨年と同じ結果となった。それでも負傷をして、現状を維持した(ランキング6位のジェイムス・ダビルとは、まだ実力差があるのはリザルトから証明できているはず)活躍は、称賛されていい。
 しかし1シーズンを戦って、今の膝では克服しようがないセクション設定があったり、不測のアクシデントでさらなる負傷をしたりという事態にはたびたび直面した。もちろんそれは想定範囲のことだったのだが、2014年シーズンを終えたところで、当初から選択肢の一つであった手術をして完治に近づく方法をとることにしたのだった。
 手術をすれば、安静期間が必要になる。シーズン開幕まではあんまりゆっくりしていられないから、最終戦が終わってすぐ手術の予約をし、シーズン閉幕の余韻がさめやらぬまま、最終戦パドックから病院に直行するかのように手術を受けた。
 心配されたのは、1年間の酷使で関節部分の骨が傷んでいる場合。この場合は骨折手術のような作業を同時にやらなければいけないので、回復はそれだけ遅くなる。幸い、骨については(もちろんまったく無傷ということはなかったが)それほどひどい状態ではなかったと言うことで、靭帯の再生手術によるリハビリがどこだけかかるかが、藤波の2015年のスタート時期を左右することになる。
 アクシデント直後から相談にのってもらっている主治医さん(写真の人が、その人のようだ)によると、サッカー選手で同じような負傷を負った場合は、戦列復帰まで6ヶ月が一般的目安だという。藤波の場合も、これがひとつのものさしになるだろう。
 手術を受けた病院には一泊だけしてすぐに退院。自宅からリハビリ施設に通ったりトレーニングしたりする日々が始まることになる。オートバイに乗れる日はまだ先で、まずは歩くこともできないのだが、膝を痛めた1年間は、トレーニングの基本であるランニングが思うようにできなかったから、これができるようになるのが、復帰の第一歩だと、藤波は考えているという。
 上の写真は手術成功直後のもの(撮影は藤波直子さん)で、下は最終戦スペイン大会。靭帯のない状態での最後の戦い。

2014最終戦での藤波