大きな災害が相次いでいます。災害支援にトライアルは最適。しっかり腕を磨きましょう。

新ルールでボウ圧勝、藤波は4位

開幕戦の藤波貴久

2位で試合中盤を折り返しながら、最終的には4位に甘んじた開幕戦の藤波貴久

 2010年世界選手権は、4月18日にスペインのバイヨーナで開幕した。2010年から、FIMのルールがいくつか変更されている。
 ひとつは、セクションの持ち時間が1分半から1分に短縮された。そして当日の下見なし。さらにスタート順がこれまでとは逆に、トップライダーが先にスタートすることになった。いろいろと、大きな変化だ。
 しかし結果は、トニー・ボウの圧勝だった。ボウの前には誰もいないという苦境の中、誰よりもいいスコアをマークして開幕戦を勝利。トニー・ボウ強しの印象はますます強まった。
 2位以下は接戦。去年まではボウ、ラガ、藤波の三つどもえだったが、今年はこれにファハルドが加わり、ボウが一歩リードしている印象。そして1ラップ目の2位から、2ラップ目の後退で藤波が4位。表彰台は2位ラガ、3位ファハルドという顔ぶれになった。
 ジュニアはアレキサンドレ・フェラー、ユースはポル・タレス(ジョルディ・タレスの甥)が勝利している。


 ルール変更について。
 まずセクション制限が1分半から1分となったのは、日本トライアル界にとってはどうということもない変更だろう。日本のトライアルは、時間制限を採用したときから1分で運用されてきて、1分半が日本で適用されるのは、年に一度、世界選手権の時だけだったから。
 なので、世界のライダーも、これについては特に事前の準備などせずに大会に臨んだようだ。しかし実際には、セクションは大半が1分半のタイム制限前提でつくられていて(1分のルールが決定したのは、つい最近のことだから)、1分で走りきるのは相当にきつかった。でもこれは、ルールの本質的問題ではないはずだ。
 次なるルール変更。スタート順。トライアルでは、よーいどんのスタートではなく、ひとりずつが順番でスタートする。この順番を決めるのが、ある意味勝負の鍵を握ることもある。
 これまで伝統的に採用されていたのは、成績のいいライダーほど、あとからスタートするというスタート順だった。全日本選手権でも、こういうスタート順を採用している。
 天候の急変など、トライアルにはいろんな要素があるけれど、先に走ったライダーの成功や失敗を参考に出来るという点では、あとから走るほうが絶対に有利になる。つまりトライアルで先にスタートさせられるということは、それだけで大きなハンディを負うことになる(いろんな大会があるから、そうでない場合も多い。念のため)。
 そういう意味では、これまでは強い者はあくまでも強い、というスタート順だった。無理にたとえれば、大貧民のゲームのようなものだ。新参者がトップライダーに切り込んでいくには、このスタート順のハンディを克服して、その上で実力を発揮しなければいけない。これまでのトップライダーは、みんな経験してきたことだ。
 ところが今回のルールは、大下克上がおこなわれた。世界選手権クラス(便宜上、世界選手権ではセニアクラスと呼ばれている)では、ボウが真っ先にスタートしていく。ボウがセクションに着いたとき、セクションは誰も走った形跡がない。それどころか、ユースやジュニアの選手が走り散らかして、セニアのラインが乱れていることも多々ある。トップライダーいじめ、と藤波は言ったけれども、しかし同時に、これが新たな試合の流れ、新人の台頭の流れを有無可能性を持っていることは、藤波も認めている。スタート順が反対になったからと言って、実力のないライダーが上位に出てくることはないが、今までよりも上位進出の可能性が増しているのはまちがいない。
 しかし、ある意味これ以上にトップライダーいじめとなったのが、下見なしというルールだ。正確には、下見ができないのではなく、セクションに入れない。走るラインを自分の足で確かめるという、トライアルにつきものの作法が、今年の世界選手権では全面禁止だ。セクションの外からなら、何時間下見をしてもいいのだが、やはり吸収できるものとできないものがある。前日にはセクション内での下見も可能となっているが、たとえ、前日の下見でラインを整えていたとしても、セニアクラスの前にはジュニアやユースのライダーが山ほど走っていて、おいしいラインなど影もカタチもなくなっている。最初にスタートしていくトップライダーは、あとからくるランキング下位のライダーのために、自らの勝負をかけてラインを作っていかなければいけないことになる。

2010開幕戦のボウ

不利なスタート順でも圧勝の、トニー・ボウ

 こんな状況だから、ランキング1位のボウ、2位のラガ、3位の藤波は苦しい戦いが予想された。それでもラガはボウのトライを見ることができるし、藤波はボウとラガのトライを見ることができる。もっとも苦しいのが、誰のトライも参考に出来ないボウだ。その苦しみは、試合が始まる前からボウも自覚していた。
 ところがボウの集中力は、こんな逆境もはねかえした。1ラップ目、ボウの5点はふたつだけ。そのうちひとつは、走った全員が5点という文字通り不可能セクションだった。そしてふたつの5点を含んで、1ラップ目の減点は15点。ラガの減点が39点、1ラップ目に2位だった藤波が30点だったことを考えると、この減点は驚異以外のなにものでもない。しかもボウは、誰の走りを参考にすることもなく、前人未到のラインをひた走ったのだ。
 1ラップ目が終わったところで、この日の勝負はほぼ見えてしまっていた。しかし混とんとしていたのが、藤波以下の2位争いだ。藤波が30点、ファハルドがわずか1点差の31点、ラガが39点、カベスタニーが44点。ふつうに考えると、藤波とファハルドの2位争い、ラガとカベスタニーの4位争いという図式だ。

2010開幕戦のラガ

あいかわらず追い上げが得意なアダム・ラガ。見事2位を勝ち取った

 ここでがぜん調子を上げたのが、ラガだった。ボウは、1ラップ目の絶好調から調子を崩して、33点をマークして試合を終えた。もちろん勝利は揺るぎないが、2ラップ目だけを見れば、ラガの32点に1点だけ後れを取っていた。
 このラガを相手に、藤波とファハルドが表彰台争い。2ラップ目には突発的に雨が降るなど、天候のいたずらもあって、ファハルドも藤波も、減点がまとまらない。ラガがひとり減点を減らしたのに対して、ファハルドの2ラップ目は1ラップ目より12点多く、藤波に至っては16点も減点が多い結果となった。

2010開幕戦のファハルド

いよいよトップ3に割って入るか、ジェロニ・ファハルド

 はたして最終結果は、ラガが2位を獲得。3点差でファハルド、ファハルドに2点差で藤波。藤波は5点差で2位を取り逃がして、4位まで脱落してしまったのだった。
 インドアで好調だったカベスタニーは、調子を崩した藤波と同じくらいのスコアを2ラップ共にマークして5位。インドアで成長が著しかったダビルはランプキンを破って6位を得た。
 今回のセニアクラスの参加は13名。いよいよ引退かと目されていたダニエル・オリベラスが、マシンを再びシェルコにスイッチして戦列に復帰しているのがうれしい。
 とはいえ、ルール変更もなにも、世界選手権に参加するライダーの増大を狙ったもののはずだったのに、今回最下位のブラウンは、15セクション2ラップを全部5点となっている。11位のマウリノ、12位のウイグも、それぞれ3点が2個ずつあるだけ。FIMの思惑が、各主催者に徹底されないのはいつものことだが、少なくとも1分のルール変更は、今回の大会だけを見ると、ルーキーにとどめを刺した結果となったようだ。
 また、昨今トライアルで頻繁に問題となっている渋滞は、今回はあまり発生しなかった模様。特にセニアクラスは渋滞なしで、スムーズな運営が行われたようだ。この理由のひとつに、自分の走りがライバルの参考にされるのをきらったボウが、ライバルを振りきって先行しようと早まわりしたこともある。しかしトップライダーから先にスタートさせるルール変更が、スムーズな大会運営の一翼を担ったのは確かなようだ。



世界選手権第1戦スペイン大会:FIM提供



Pos. Rider
Machine Nat.
Sections Lap Tatal Clean
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 Total Time
1 Toni Bou 0 0 1 0 1 1 0 0 1 5 5 0 0 0 1 15 0 48 13
Montesa SPA 0 0 1 1 2 5 0 5 0 1 5 3 5 0 5 33 0
2 Adam Raga 0 5 0 3 5 5 5 1 0 3 5 3 2 0 2 39 0 71 9
GasGas SPA 5 1 0 3 5 5 1 5 0 0 5 0 0 1 1 32 0
3 Jeroni Fajardo 0 0 2 1 2 5 0 3 0 2 5 5 1 0 5 31 0 74 9
Beta SPA 5 5 0 5 5 3 0 3 1 5 5 5 0 0 1 43 0
4 藤波 貴久 0 0 0 0 2 3 0 5 0 3 5 5 2 0 5 30 0 76 11
Montesa JPN 5 0 0 3 5 5 2 3 0 5 5 5 3 0 5 46 0
SENIOR・5位以下
L1 L2 T/O C
5 Albert Cabestany Sh SPA 44 45 0 89 5
6 James Dabill Ga GBR 59 53 0 112 3
7 Dougie Lampkin Be GBR 59 57 0 116 4
8 Daniel Oliveras Sh SPA 63 66 0 129 2
9 Loris Gubian Ga FRA 67 69 0 136 0
10 Matteo Grattarola Sh ITA 75 67 0 142 0
11 Daniele Maurino Ga ITA 73 73 0 146 0
12 Alex Wigg Be GBR 73 73 0 146 0
13 Michael Brown Sh GBR 75 75 0 150 0
JOUNIOR
L1 L2 T/O C
1 Alexandre Ferrer Sh FRA 12 17 0 29 21
2 Alfredo Gomez Mo SPA 10 20 0 30 17
3 Jack Challoner Be GBR 16 15 0 31 20
4 Francesc Moret Mo SPA 18 20 0 38 16
5 Benoit Dagnicourt Be FRA 26 20 0 46 14
6 Patrick Smage Sh USA 24 25 0 49 13
7 Tanguy Mottin Ga FRA 30 30 0 60 8
8 Pere Borrellas Ga SPA 31 35 0 66 8
9 Jonathan Richardson Sh GBR 38 29 0 67 9
10 Maxime Wareghien Sh BEL 31 38 0 69 7
11 Ivan Peydro Ga SPA 40 29 0 69 7
12 Luca Cotone Be ITA 42 34 0 76 6
13 Gianluca Tournour Ga ITA 40 43 0 83 6
14 Emil Gyllenhammar Ga SWE 33 50 0 83 5
15 Jan Peters Be GER 49 38 0 87 3
16 Matteo Poli Be ITA 47 43 0 90 5
17 Matteo Cominoli Be ITA 49 45 0 94 2
18 Laia Sanz Mo SPA 51 51 0 102 i1
19 Ben Wibberley Ga GBR 54 52 0 106 1
20 Jean-Phillippe Lerda Ga FRA 57 57 0 114 1
21 Jiri Fikejz Be CZE 60 57 0 117 0
22 Guillaume Laniel Ga FRA 60 63 0 123 1
23 Pedro Sousa Ga POR 73 75 0 148 0
G Maia Pedro Ga POR 75 68
G Filipe Paiva Xi POR 73 75
G Mauro Hermelo Ga POL 75 73
R David Millan Sh SPA 50
YOUTH 125
L1 L2 T/O C
1 Pol Taress Ga SPA 11 10 0 21 21
2 Jack Sheppard Be GBR 13 16 0 29 18
3 Carles Traviesa Ga GBR 15 18 0 33 19
4 Giacomo Saleri Be ITA 17 16 0 33 14
5 Cedric Tempier Sh FRA 13 24 0 37 12
6 Kristoffer Leirvaag Sh NOR 19 28 0 47 11
7 Filippo Locca Be ITA 19 31 0 50 10
8 Aaro Castells Ga SPA 20 32 0 52 10
9 Ismael Catalin Ga ITA 18 36 0 54 10
10 Jesus Martin Ga SPA 32 25 0 57 9
11 Romain RIgaud Ga FRA 25 35 0 60 8
12 Dimitri Wagner Be FRA 35 41 0 76 6
13 Gianmaria Julita Be ITA 39 37 0 76 6
14 Simone Ferrari Be ITA 45 40 0 85 2
15 Rafael Latorre Be SPA 42 50 0 92 4
16 Diogo Vieira Ga POR 62 55 0 117 2
17 Miguel Jose Nogueira Ga POL 75 75 0 150 0
R Jorge Casalas Ga SPA
G Alberto Rodriguez Ga SPA 15 18 0