雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

SSDT、4日目

はい、4日目になりました。
木曜日ですから、疲れも絶好調。これをすぎると、あとは比較的楽ちんな金曜日(といっても、ぼくに走れるというわけではない)、最終日の土曜日だけだから、もうなかばのりきったも同然だけど、ここで痛めつけられると、残りの2日間もしんどいかもしれませぬ。
杉谷が掲示板に書きこんでいたけど、そちらの情報に惑わされずに、リザルトから情報を拾ってみましょう。
ジャービス、コナーがともに3点。トップは11点でジャービスだけど、コナーは8点差で2位。さらにジェイムス・ランプキンがコナーに1点差で3位。この日のランプキンは4点です。さらにその次、4位につけているのはポンス、この日8点でトータル22点。5位がソープで9点の24点。6位がヘミングウェイ(弟)で12点の31点。7位がコリーで14点の31点。パスケットが5点で32点で8位に浮上、ヘミングウェイ(兄)が9点で37点で9位。
ここまでは、なんとなく知ってる名前です。
ジャービスは、ご存知世界選手権のトップランカーで、何度も優勝経験がある。
コナーは、15位までに入ればとりあえずめでたしというライダーです。ときどき調子がいいと9位くらいになるけど、それ以上はむずかしそうな人。
ランプキンは、従兄弟のドギーはチャンピオンだけど、ジェイムスはマインダーです。世界選手権なんかに出ちゃったりしたら、ぼろぼろになるにちがいない。
ポンスはかつては世界選手権で優勝しそうだった(たぶん2位くらいが最高だったと思う。うろ覚え)ライダーで、ここ数年はライア・サンツのめんどうばかり見ていた人。
ソープは、お父さんがトライアル創世期の頃のトップライダーの二世ライダー。まぁ、ランプキンもヘミングウェイも、みんなそうなんだけど、その中では一番できが悪かった。世界選手権のイギリス大会とか、去年のスペイン人がみんな欠席したルクセンブルグにも出ていたと思うけど、ポイントをとったことがないというライダー。でも、親子揃って人当たりのいい人で、伴津留代さんなんかは、けっこう仲良くしてもらっていたはず。
ベン・ヒミングウェイ、ダン・ヒミングウェイは、この前トシ・ニシヤマのこれがトライアルだ、を見ていたら、ジョン・ヘミングウェイというからだの小さな素晴らしいライダーのことが出ていました。顔がそっくり。去年コリーのかわりにデナシオンに出たのは弟のベン。これまでに世界選手権でまぐれでポイントをとったくらいの人だから、ものすごい大役だったと思う。
コリーはご存じののっぽ。引退したけど、SSDTの優勝経験もあり、まだまだやれるぞという印象ですね。
パスケットは、コナーと同じくらいのレベルの世界選手権ライダーだけど、こちらはスペイン人。滑るところは苦手とされているお国から、毎年この大会に来ています。
みんな、うまいはうまい。それはまちがいないんだけど、それでもいわゆるうまいとされている順番に並んでいるわけじゃないところが、この大会のみそです。
そこらのツートラなんかで、IAライダーが素人に負けちゃったりすることがあります。IAセクションだったら絶対に勝負にならないから、これはセクションが簡単だから。これを世界選手権とSSDTに置き換えるとおんなじような気がしてしまうんだけど、それは日本しか知らない胃の中の胃薬なんでしょう。SSDTのセクションは、世界選手権のセクションに比べてトリッキーでないかもしれないけど、むずかしいのはおんなじ。ツートラでIA選手が負けるのは気を抜いているからだけど、SSDTでは距離が長すぎて全部気を張っているわけにもいかないし、といって気を抜いて走れるものでもないし、ぜんぜん別ものなわけです。
誰だろうね、SSDTをツートラの鏡みたいに言ったのは。雑誌屋として、ぼくもそんなことを昔書いたような覚えがありますが、とんでもない。トライアルするところは共通だけど、ほかはまったくちがいます。ランプキンも藤波もこの大会に出ようとはしませんが、まず第一は仕事でもないのに疲れたくないということがあるだろうけど、この大会の難しさを、よく知ってるからじゃないでしょうか。
しかし、4日目にして40点以下、1日平均一桁で回っているライダーは10人います。20点以下だと30人弱いる。このへんになると、ぼくの知らない人がいっぱい出てくる。スペインのレオンが21位に入っているのを見つけたけど、ライダーのレベルの問題ではなくて、体力とか精神力とか、この土地を走るノウハウとか、そういういろんな部分の勝負って感じ。レオンは世界選手権で(まぐれかもしれないけど)ポイントをとったライダーで、それと勝負できる無名のライダーが、スコットランドに20人もいるとは思えないものね。
と、杉谷が掲示板に書いたことを補足して、ぼくが思うSSDTの簡単さと難しさについて、語ってみました。自分で走ったこともないくせにね。だいたい、走ったこともないのにSSDTを語った人って、宮田光幸さんにしても藤田秀二さんにしても杉谷にしても(出場順)、いざ自分が出場すると、こんなにたいへんだったとは思わなかったと口をそろえていうんだ。それを伝えるのが仕事なのに、表現力がなかったのか、それまで観察してきたのが節穴だったのか、ってことだと思います。わはは。ぼくの場合は、出ようなんて思わないから、申し訳ないけど、表現力のなさや観察力が節穴だということに気がつくことが一生ない。まぁでも、全員が全員節穴なんだから、これはやっぱり、出てみないとわかんないということなんでしょうね。
さて、リザルトをめくっていきましょう。
SSDTのリザルトは、Web(http://www.ssdt.org/)を見てもらうとわかるけど、順が出ていません。減点順に上から並んでいるだけ。ぼくは暫定的に上から順番をつけてこれを書いてるけど、現場では、順番を数えるのもめんどくさくなって、そんなことはしません。
250人もいると、リザルトも1枚ではすまなくて、5〜6枚になっている。で、みんなのリザルトの見方としては、「何枚めの上の方」みたいなどんぶりになります。1枚めというのは、当然トップグループで、2枚目くらいがいい感じ。杉谷は、2枚目に乗るのが大きな目標なんだけど、今年はお疲れのようで、ぜんぜん目標には届かない。ぼくがつけた順位では168位ってことになってますが、リザルトでは4枚目の最後です。
今、日本人最上位は成田亮で、これは2枚め。日下達也は成田に遅れること20点だけど(10分ほどのタイムオーバーを食っているのが痛かったね)日下は2枚目にはのれませんでした。3枚目の上の方にいます。高橋さんは6枚目の上の方。今、失格にならずに走っているのはこの4名。さらに森進太郎、小林由利子のふたりが、賞典外で走り続けているようです。
小林由利子はこの日のタイムオーバー減点117点。249点でトータルが1011点になりました。でも50点減点がひとつもない。すべてのセクションを全部追いかけているんだね、きっと。
そうそう、きのうの杉谷の掲示板への書きこみを見て、きのうの日記にまちがいを書いたかもしれないというのを思い出した。今、SSDTでは申告5点が許されています。昔はだめだったんだよね。SSDTも、少し現代っ子対策をしたってわけ。伴さんは、それをじょうずに使って完走したというところだけど、ヒルをすっとばしてしまったら、やっぱり失格だったんだね。ただ中には、丘にある4つのセクションを全部歩いて回っても、オートバイで走るよりも楽ってところがあるんだと思う。木村治男さんが、歩いて進む伴さんがうらやましくてしょうがなかったって話をされていましたから。
まぁ、このへんはむずかしいところですが、歩いて回る根性や、どの丘をエスケープするのかという読みや機転も、現在のSSDTでは能力のうちなのだということでしょう。ぼくらなんか、クルマを止めたところから最初のセクションのところまで歩いていくのだっていやになっちゃうんだから、丘を一回り歩いてくるのも、それなりにたいへんなことだったでしょうね。
森進太郎くんは、この日はタイムオーバーなく、74点でトータル312点。イリス・クラマーに5点勝ってます(といっても、進太郎はすでに失格してるんだけど)。進太郎は初日に大量減点をくらっているから、ほんとはもっと上位につけられる実力を持っているんだろうけど、でも逆に、この若さで、ヨーロッパのトライアル初経験で、イリスとどっこいで走っているのはたいしたものだなとほめてあげたい。
女性トップはコンウェイで、イリスよりも20点弱上にいる。見たところコンウェイって娘は、イリスよりももっとハングリーな感じがするから、そういうところが影響してるかなぁ。うまいのは、イリスはめちゃめちゃうまいんだけどね。
女性3番手はノルウェーのリンダ・マイヤーで、杉谷がかろうじて30点くらい上にいる。トップグループの30点差は40人くらいいるけど、このへんになると間隔もまだらで、杉谷349点、リンダ369点の間には6人しかいない。
これまで忘れていたけど、リンダのすぐ後ろにはボイタ・クレッカという人がいる。この人、宮田光幸さんがトライアルジャーナルで「懺悔」したときにはなかなかの脇役を演じているのだけど、スウェーデンかなんかのジャーナリストで、世界選手権に出てみたこともあるという。たぶん藤田秀二さんが世界選手権に出てみるのと同じレベルで、あぁやっぱりこうだったかという収穫を持って、すぐに自分の技術を悟ったらしいけど。
ボイタは毎年欠かさずこの大会にやってくる。もうけっこうなじじいなんだけど、でものったりくったりすたこらすたこら走っている。ボイタはもう20年くらい出場経験があるから、いろんな経験を積んでいるんだけど、日本人がお手本にするとしたら、まずジャービスじゃなくて、ボイタなんじゃないかなという気がする。
ボイタは夕食のあと、ホテルのバーに座って、ひとしきりみんなとお話をしている。お疲れなんだろうけど、だからといって、みんなとお話しをするのも、欠かせない行事らしい。
成田vs日下の日本人同士の対決は、成田183点(この日42点タイムオーバーなし)、日下203点(この日52点タイムオーバー11分)といったところ。タイムオーバーがなければ、両者の減点はほぼ同じ。でも、じりじりと差が開きつつあります。20点差なんて、なにか事件があったらあっという間だけどね。
ニューカマーのクラスでは、成田14位、日下が16位でしょうか。スペインのレオン兄弟が上に控えていて、これ以上めざすのはむずかしそうです。
さて、手がずる向けになった杉谷、あと2日、もつでしょうか。
仕事的に使い物にならない状態で帰ってこられるとめんどくさいんで、完走よりも、せめてキーボードが叩ける状態を維持して帰ってきてほしいと個人的には思うのだけど、みんなが読んでいるから、「日本のことは心配ないから、あと2日がんばれ」と、きれいごとを言っておこう。