雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

ベルドン3日目まで

 ホテルがかわいいだの飯がおいしいだのと能天気な日記を書いていたと思ったら、この3日ほどだんまりを決め込みました。ベルドン・トライアルが始まったからです。


 初日の雨は、ぼくらのホテルの周囲だけで、最後の方のセクションでほんのちょっぴり降られただけ。お天気はこの3日間とも、よすぎるくらいにいい。というか、暑い。Tシャツ1枚で走っている人もけっこういるけど、そういう人は腕から血を流しながら走っていたりもする。転ばなくても、木の枝とかブッシュとかで痛い思いをします。ぼくも腕まくりして走っていたら、画鋲みたいなとげが腕にいっぱい刺さった。
 お水は持っていかないと死んでしまうけど、要所要所に井戸があるから、そういうところで水を補給してからだを冷やしながら進って感じ。特に水曜日が暑かった。
 杉谷曰くは、ベルドンは初心者でも出られる簡単・快適トライアルということだったけど、ぼくはぜんぜん信用していなかった。で、そのとおりでした。きついわー。暑かったせいもあって、火曜日はたいへんだった。ひぃひぃ言いながらゴールしたら野崎史高が「今日はたいへんだったっすね」と言うので、あぁぼくだけじゃないんだと少し安心。もちろん、ぼくの周囲を走っているおっさん連中も、なかなかへろへろです。でも中には、TLR200とかタイガーカブで走っている人もいるんで、感心してしまう。
 とはいえ、コースもセクションも、ベルドンは龍泉洞よりははるかに簡単。龍泉洞では、お助けがいないとトライしたくないセクションとか、ひとりで抜けられないコースがあったけど、ここにはそんなものはなかった。龍泉洞では「あー、また助けてもらっちゃった、また歯が立たなかった」という精神的ダメージと戦っていた気がするけど、ベルドンにある精神的ダメージは「あー、またクリーンセクションでべたべたしてしまった」という、とても健全(?)なものだった。
 といっても、なんつーか、トライアル的コースが圧倒的に長いから、きついことははるかにきつい。龍泉洞というより、平谷のツートラを毎日走っているという感じかな。
 ヨーロッパのトライアルだから、ちゃんとタイムキーピングもある。どうも減点のつき方からして、1分1点じゃないみたいだけど、持ち時間に遅れれば減点。3日目の午後、ぼくらはようやくタイムオーバーなしで帰ってきたけど、それまではタイムオーバーの嵐だった。2日目なんて、ぼくのスコアを見たら122点なんてなってる。24セクションしかないんだよ。全部5点だって120点じゃないの。ぼくなりにちゃんとクリーンもしたし、5点はひとつも取ってないのに、ぐずぐずやってるもんだから、こんな結果になっちゃうのだ。
 まぁ今回のぼくらは、5人で完走しましょう、みたいなのりだから、このタイムオーバーもどーってことはないんだけど、クリーンを狙って下見に時間をかければ、その分タイムオーバーで減点が増えていくというすばらしいシステム。遅くなると、渋滞にはまって、もう復活はできなくなる。
 個人的なご報告をすると、杉谷は、ジャン・ミッシェル・バイルと優勝争いをしたのはどこへやら、壊滅的な減点を食らっている。みんなのサポートをしながら走ってるからというのもあるけど、SSDT以来乗ってないんだから、どうしようもない。今回の杉谷は、へたくそだ。
 ぼくは調子がいい(当社比)。1日目の第1セクションにつくまでに腕が上がったときにはどうしようかと思ったけど、場慣れには自信があったので、まぁ走ってるうちになんとかなるだろうと笑っていたら、3日目くらいにはうんと楽になった。転倒は全部で3回。1日目のセクションでクリーンしようとして粘ったあげくに吹っ飛ばされてべたっと転んで木沢さんに大笑いされたのと、3日目の下り坂でフロントブレーキの握り過ぎでずりずりと転んだのと、コースに出てきた段差を越えようと思ったら、その手前がドロドロで深い水たまりで、フロントが突っ込んであやうく水没。まぁ、3日間でこんなもんだから、なにごともなく進んでいるに等しい。ちなみに、3日間で5点は木沢さんに大笑いされたやつ、ひとつだけ。3点なら、どうやっても出られるセクション設定だから、やっぱり簡単ということなんだろう。でも、ぼくら専用のゲートマーカーもあって、クリーンしようとすると、やっぱり気合いが入る感じ。
 小林千春さんは、1日目を完走したあと、熟慮の末に2日目から4日目をお休みすることにした。彼女には、やっぱりちょっぴりたいへんだったと思う。助けてもらわないで、平谷を一人で走れる(晴れた日の平谷ね)というのが、ベルドン出場の条件になるかもしれない。でも千春さんは千春さんなりに、フランスの一人旅を楽しんでいる模様。ゴールで明るく迎えてくれるので、うれしい。
 木沢さんと刀根さんは、ぼくよりラベルの高いライダーだから、難易度的には屁でもないと思うんだけど、ときどき追いつめられたみたいな感じになっています。まぁ、フランス語でまくしたてられたりすると、困ってしまったワンワンワワンとなってしまうのは理解できます。フランスの一人旅の経験があれば、そういうワンワンワワンもだいぶ少なくなると思うけど、ツアー旅行しかしたことがないと、やっぱりびびるかもしれませんね。まぁあと2日間あるから、彼女たちにももうちょっと慣れてもらいましょう。
 フランスに慣れるというのは、別にフランス語ができるようになるってわけじゃないっすよ。ぼくもさっぱりわからない。言葉がわかんなくても、どーってことないやというひらきなおりができるかどうかっていうことです、念のため。
 さて間もなく4日目が始まります。今日こそ、1日タイムオーバーなしで帰ってくるのが目標。スタート順は毎日入れ替わりで、今日は一番早いスタート。最終日はスタートも遅いし、千春さんを含めて、5人でバックマーカーと友だちになる予定です。
 野崎くんが、藤波由隆さんの伝言も持ってきた。「ベルドンを完走しなかったらスイスに来んでいいぞ」とのこと。初日には「へへい。がんばります」という感じだったけど、だんだんぺーすがつかめてきたので、バイクでもぶっ壊れなければなんとかなりそうだ。ここでお返事しておこう。「平谷を完走しなかった人に、言われたくないなー」へへへ。