雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

右を見ろ

右を見ろ

 フランスへ行くのに、飛行機はブリティッシュエアウェイ。イギリスの飛行機なんで、ロンドンに到着。乗り換えるのに、ヒースローからガドウィック空港に移動してください、だと。旅慣れた人は知ってるんだろうけど、そんな空港、あるのも知らなかった。


 イミグレーションで「何日いるんだ?」と聞かれたので3時間だよと答える。その日の夕方ガドウィックをでるチケットを見せてるのに「なんだそりゃ?」と言われる。トランジットで3時間後にガドウィックから出発するのと答えると、ほほーなるほどと「6ヶ月間滞在許可」つきの入国スタンプを捺してくれた。でも手書きで「トランジット」って書いてある。
 バス乗り場へ向かうと、道にこんなことが書いてある。「クルマに気をつけなさい」じゃなくて「右を見ろ」だよ。ここはイギリスなんで日本と同じ(日本がイギリスと同じなんだが)、クルマは左側通行なんだけど、ふつう、ヨーロッパはそうじゃない。イギリス以外の国から来る人が多い空港じゃ「クルマに気をつけろ」じゃ反対側を気をつけちゃうんだろう。ぼけっと道をわたろうとして「右を見ろ」を読み、なにが言いたいんだろうと一瞬考える。そして次の瞬間、おぉ、ここはイギリスだ。道路が反対なんだと気がつくわけだ。道に字を書くんだって、相手の気持ちになって考えると、結果はちがってくるってもんだ。
 ちなみにこのご案内は日本人には大きなお世話。イギリス以外の国の横断歩道に「左を見ろ」標識がほしいもんだけど、少数民族は相手に去れないんだ。ちぇ。
 マルセイユに着いたら、レンタカーを借りる。予約してたから、話は簡単。「あいあむリザベーションゲスト」「うぃ、かるたクレジット」。こっちが一生懸命英語の単語を並べてるのに、向こうは意に介さず、フランス語をしゃべってる。「サインは1ヶ所だけでいいの?」「Ici、Ici。どぅ! めるしー(こことここ。2ヶ所にサインしてね。ありがと)」。敵は、ぼくの英語は理解してくれてるんだが、頑として母国語しか話さない。にこにこしながら頑固なやつ。「Where is parking my car?」「きゃらん・さんく、めるしー、おばー」きゃらん・さんくは45。伝票に45って書きながら言ってくれたから、まぁフランス語の勉強だと思えば、得した気になってくる。めるしー、むっしゅ。
 駐車場番号45番に待っていたプジョー206はマニュアルミッション、エアコンなし。ヨーロッパでは、北海道といっしょで、エアコンなしのマニュアルミッションのレンタカーがまだまだ多いけど、今度から夏に借りるときにはエアコンつきにしようと思った。だって暑いばっかりじゃなくて、なんだかじとっと蒸し暑いんだもの。
 というわけで、なんだかバカンスシーズンに突入したマルセイユをあとに、プロバンスの山の中、世界選手権の会場であり、スコルパの本社のあるアレスの街にクルマを走らせたのでありました。
 小さなプジョー206は、トップパワーはないし足はふわふわだったけど、なんとなくてきぱき走るいい印象。ヨーロッパのクルマは、みんなこんなふうに生き生きとスポーティだ。市場の要求なのか、お国の規制ゆえのものか、そのへんはよくわからない。