雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

膝痛と草刈りとフランス語

リハビリ機械

関節に電気を流すだかの機械

  1ヶ月くらい、膝が痛くてなんだか動きが悪いと思っていたところ、なまじトライアルごっこをやってしまっていよいよ歩くのがつらいという感じになってしまった。膝が痛いのも肩が重いのもお年ごろだからしょうがないと思ってたけど、ぼくらのトライアルで足をつくたびに痛がっていては痛いだけのスポーツになってしまうんで、お医者さんへいってきた。
 うちの近所には、体育大学とかがあって、元気な若者が多い。で、スポーツ整形外科みたいなのも、けっこうたくさんある。一番近いのは、歩いて1分30秒のところにあった。これなら、足が痛くても歩いていける。前に、腰痛で整体に通ったときには、なかなか強力な整体屋さんだったけど、移動距離が多くて、腰痛全開の身にはつらい道のりだった。1分30秒は文句ない。


 膝は、特になにをした覚えはないんだけど、昔かじったモトクロスごっこかもしれないし、サハラ砂漠では2日に3回くらい転んでいたから、そのときの後遺症かもしれない。ロシアでも、滑った拍子に足をついたら、その足を地面に持っていかれて、転ばなかったけど思いきり足をひねって痛かったことがあった(東福寺さんといっしょに調子よく走ってたんだけど、やっぱりぼくにはペースが速すぎたらしい)。なんだかわかんないけど、そういうあれやこれやが、今のぼくの膝になっている。
 ゆっくり動かしても少しかくかくいうんだけど、滑りやすいところとかを歩くと、頼りないったらありゃしない。まったく踏ん張りが利かずに、そのまま転びそうになる。オートバイでも、サスペンションが働かなくなると、グリップがてんで悪くなるというけど、自分のサスペンションである膝が動かなくなると、その理屈が実感としてわかる。
 半月板かなぁ、靭帯を伸ばしたような記憶はないなぁと思いながらお医者さんに見せると(ぼくと同年代だけど、若々しい先生だった。ぼくと同年代だと、ふつうはえらいおっさんなんだけどね)、膝をくりくり触ってレントゲンを撮って「まぁ、ふつうの老化ですが、半月板の老化なんかも含めて、関節は硬いですね」とのことだった。故障を疑わずに、もっと柔軟体操に精を出しなさいということだ。故障だったら修理してもらえばいいんだけど、ちゃんと運動しないと、動くものも動かなくなるという教訓でした。オートバイでいえば、性能の悪いパーツをスペシャルパーツに交換したくなる前に、ちゃんと整備されているのかどうか、もう一度きちんとチェックしてみる(してもらう)みたいなもんでありましょうか。
 んで、診察の後、電磁波をあてたり赤外線を当てたりしてもらって、湿布をもらって帰ってきた。湿布も、処方してもらって出してもらうと、保険がきくから安い。でも、要するにそんなものに甘えていないで、しこしこ運動しないといけないんでしょうけども。
 やっぱり、足踏み式発電で動くコンピュータで仕事したほうがいいかなぁ。

 さてと、その使い物にならない膝を引きずって、週末に草刈りをした。7月23〜24日に山村レイコさんちでオフロードバイク入門講座をやるのだけど、その会場となるレイコさんちの庭が雑草(というより牧草)でジャングル状態だったので、草刈り機と格闘してきた。
 しかし、太陽は偉大だ。木に覆われて、あんまり日が当たらないところは、雑草もそんなに育たない。空が開けているところは、思いきり雑草が育っている。育っているのが牧草なのかイバラなのか、もうちょっと知識があれば、そんな観察もおもしろいだろうけど、その頃には手がしびれてしまって、どうでもよくなっている。そういう状態になってからのほうが、草刈りは効率がいい。効率はいいけど、ときとして刈ってはいけないものまで刈ってしまったりする。効率をどこまで追求するのかは、草刈りでもJRのダイヤを組むのでも、たぶんおんなじ。きっと、ほどほどがよいのだ。
 仕事が終わって、無農薬でつくられたじゃがいもを茹でていただいたら、中から芋虫が出てきた。もちろん茹でられているから、お亡くなりになっている。リュウちゃん(レイコさんの旦那様だ)はアフリカ放浪の旅経験者だから、今にも芋虫を食べそうな勢いだったけど、ぼくは合掌するだけにしておいた。たぶん、食べられるんだろうね。芋虫のうんちとかが混ざっているであろう、芋虫のいた周囲のじゃがいも部分は食べられるもんだろうか? じゃがいもに住む芋虫の生態研究家の方がいらしたら、教えてください。

 帰ってきたら、石原慎太郎さんが訴えられたそうだ。「フランス語は数字が数えられない言語だから」とおっしゃったそうな。これ、ドイツ人をポテト野郎、イタリア人をスパゲッティ野郎と愛をこめてバカにするレベルの冗談です。
 フランス語で80は「キャトル・バン」といいます(どこかのワイドショーで、クワトロ・バンと読んでたらしいけど、クワトロはイタリア語だ)。「4×20」って意味。ところがひとつ少ない79は「ソワサン・ディズヌフ」、「60と19」。70って単語はないんだね。
 でもね杉谷真著「欧州放浪記」の成田匠の語録によると、サポートからかけられる残り時間などは、日本語ではないほうがいいという。「に・じゅう・さん」と「じゅう・さん」は、ほとんど同じように聞こえる。聞きまちがえの危険がある。フランス語だったら23は「ヴァン・トロワ」で33は「トラント・トロワ」だから、なかなかまちがえようがない。このへんは、スペイン語でもイタリア語でも、あんまり変わらない。
 フランス語でもっともすごいのは99で「キャトル・ヴァン・ディズヌフ」となるんだけど、これ「4×20+19」という小学生には解けないような計算式で成り立っている。フランス人はおつりをごまかすとよく言われたけど、もしかしたらフランス語で計算するのはたいへんなのかもしれない。あれ? 石原慎太郎のいうとおりだ。でもこういう言語でお勉強しながら、数学の得意な人もいるわけだから、逆にすごい能力だ、ともいえる。
 フランス語の愉快な数字の数えかたについて、日本のみなさんがちょっとでも知る機会ができたとしたら、石原慎太郎さんの失言(かどうかはわかんないけど)もまんざらむだではなかった。この数字の数えかたから、フランス人特有の文化も生まれてるんじゃないかと思うと、ちょっと楽しいかもしれないのだった。