暑さ・台風・大雨なんかには負けないぞ。でもとりあえず大岩には登ってみたい。

日本チーム、TDNインターナショナルトロフィーで2連覇

熱戦だった。

インターナショナルトロフィーでの日本のライバルは、昨年同様にドイツと考えられた。ただ、ドイツの代表にフランツ・カドレックがいないのは、日本にとって朗報だった。とはいえ、ドイツもエントリーリストを見たとき、小川友幸の名前がないのを朗報と考えたかもしれない。状況はイーブンだ。

2023年、日本とドイツは1点を争う神経戦を演じた。それは2024年も同じだった。日本は開始早々の第2セクションで1点を失う。第4セクションまでオールクリーンしたのはドイツ、アメリカ、オーストリア、チェコと4カ国があった。つまり日本は5位で4カ国を追う展開となった。

勝負は難度の高い第5セクション、そして第6セクション。ライバルチームはこの2セクションで9点以上を失ったのに対し、日本は3点に抑えた。

TDNは3人が走り、上位二人の減点をチーム減点とする。3人が5点なら10点、二人がクリーンならその時点でチーム減点はクリーンとなる。ライダー個々の減点は記録には残らない。


2024年、日本チームのメンバーは、前年インターナショナルトロフィー世界一となった小川毅士、最終戦でT2クラス初ポイントを獲得した廣畑伸哉、T3クラスに2戦参戦して最上位6位となりランキング12位を獲得した黒山陣。2023年に比べると、一気に若返った、新生日本チームだった。ただ黒山は若すぎた。16歳以下の黒山は、FIMの規定にのっとり、125ccにしか乗れない。全日本では300に乗っているからというローカルな自由は、FIMでは通らない。黒山は、ハンディを承知で125ccでトップ争いを戦う覚悟を決めた。


2023年にインタークラス優勝の実績を持って、日本は最後尾スタート。ライバルがトライした後に戦況を伺いながらセクションインできる強みを持った。

第2セクションで日本チームは1点を失った。この1点で暫定順位は5位となるも、難関は第5と第6だった。ここで日本はクリーンと3点、ドイツは9点を失い、アメリカは10点。ここでの点差が、そのままトータル減点の差につながった。


2ラップ目、ライバルチームも攻略を考える。日本は大きなミスをしてはいけない。1ラップ目にクリーンだった第5は1点としたが、1ラップ目3点だった第6は2点に抑えた。トータルでは同じだ。このふたつのセクション、日本は2ラップトータルで6点、アメリカ14点、ドイツ17点。このふたつのセクションで、今回の勝負はほぼ決着したと思われる。

ただしただし、最下位のコスタリカはといえば、1ラップ目に8つの10点(全員が5点)があった。ところが2ラップ目、第5で8点をマークしている。これは3人のうち、二人が3点で抜けたことを意味する。最下位のコスタリカも、がんばったのだ。

第6以降、第7から最終15までは、1ラップ目はオールクリーンした日本チーム。2ラップ目も順当に走れば問題はない、はず。ところがここで日本にミスが出た。第9で3点、第10で5点。10点以上あった点差が一気に数点差に縮まった。ここからが、日本チームの踏ん張りどころだった。結果、アメリカに3点差。日本はインターナショナルクラスで2連覇を達成となった。


来季のT3クラスでの活躍が期待される黒山陣、T2での2シーズンを戦った集大成がこのTDNとなった廣畑伸哉、35歳をすぎでT2フル参戦を果たし、2024年にチームジャパンをインターナショナル勝利に導いた小川毅士、そして世界チャンピオン藤波貴久監督。日本は2年連続で、大きな金星を獲得した。
Photos : Pep Segales