大きな災害が相次いでいます。災害支援にトライアルは最適。しっかり腕を磨きましょう。

競技規則書の見方・その2025年版

MFJ(一般財団法人日本モーターサイクルスポーツ協会)は、日本の2輪スポーツを統括する機関で、いろんなジャンルのモータースポーツを管理運営する総まとめ部署になる。トライアルも、その一環になる。

競技に出て腕試しをするには、MFJライセンスを取得する必要がある。日本では、草大会のほとんどがMFJライセンスを必要としないが、イギリスの人にそういう話をしたら「そんなことがあるのか!」とひっくり返られたことがある。個人的には、すべての草大会がMFJの承認イベントとなってMFJの保護や保障の元で開催されるようになったらいいと思うのだけど、現実には、MFJと関係ない草大会は日本の文化になったと思われる。

で、競技を管轄するには、規則がまず重要になるから、MFJは毎年その年のルールを規則書として発効している。以前はライセンスを取得すると、厚さ1cm弱のけっこう厚い規則書が送られてきた。それが2022年から、規則書はWEBでPDFにて配布されることになり、紙の規則書は廃止された。会員の会費は実質値上げとなった計算だが、ライセンスを持ってない人でも規則書を閲覧できる大きなメリットも生まれた。

移行、規則書は
https://www.mfj.or.jp/rule-type/japan/
にて配布されている。

ダウンロードのしかたもちょっとコツがいって、片っ端からダウンロードすると、同じページを何度もダウンロードすることになっちゃったりするんだけど、そのへんはぜひ慣れてください。紙の本の時代はトライアル関係者もロードレースやモトクロスの、自分のカテゴリーとは関係ない規則も持ち歩かざるをえなかったが、ダウンロード版なら必要なものだけ取得すればいい。トライアル競技なら、総則とトライアル競技規則をダウンロードすればいい。総則はどのジャンルでも必ず必要だから、お忘れなく。

現状、MFJサイトには2024年12月25日に改訂した2025年版規則書がアップロードされている。ここでひとつふたつ(もしかしたら、もっと)、落とし穴があった。今からダウンロードする人は最新版が手に入るが、去年のうちに規則書をダウンロードした人は要注意。規則12-2-3-14の記述が、知らない間に(おそらく2025年1月初旬くらいに)改訂されている。実はこれ、2024年版の規則書が発行された後、誤解がある記述ということで改訂されたものが、2025年版に反映されていなかったものが、その後反映されたものに切り替わった、ということだ。規則書を改訂・修正したのなら、その旨の案内・告知をしてほしいものだと思うけど、この件について、MFJからはなんのアナウンスもないから気をつけなければいけない。簡単な解決策は、今この瞬間に新しい規則書をダウンロードすることだ。




ここに並べたのは、最初にアップロードされたものと新しいものの異なる部分をコピーしたものだ。どうちがって、それによってどんな事態が起きるのか、想像力を働かせて読むと、規則についての理解も深まる、かもしれない。

ところがこの新しい規則書は、しかし現状の最新版でないというややこしい現実もある。これがふたつめの落とし穴だ。MFJとトライアル委員会(MFJとはMFJ本部のことで、トライアル委員会は規則を決定したりする重要部署だが、実はトライアル委員会はMFJの外部組織であってMFJとイコールではない)は、1月19日に規則改定について、という文書(ブルテン)を発行した。

ここで改定された規則は、2024年から2025年への変更より、うんと大きなものだった。そして、その変更は、規則書そのものには反映されていない。

これから規則書を手に入れようとする人は、最新版(ダウンロードしたファイル名が「01_トライアル規則全文-2.pdf」と、末尾に-2と入っているものが新しい)を手に入れ、さらに「2025全日本トライアル_ブルテンNo.1.pdf」をダウンロードして、ブルテンにある改訂を規則書本文に反映させなければいけない。紙の規則書なら赤ペンで修正することができたが、PDFを修正するのはなかなかたいへんだから、規則書とブルテンを両方携行(スマホなりタブレットに入れておくだけだけど)する必要がある。

一方、紙の規則書がほしいという声に応えて、MFJでは紙の規則書を限定販売することにした。

規則書が販売される
https://www.mfj.or.jp/motorcycle-sports-rules-2025/


ロードレース以外の4種目の合併規則書でお値段は送料・税込で2,500円とのこと。冊数に限りがあるからもう売り切れているかもしれない。

紙の規則書で、この改訂規則がどう扱われているかは、届いてからのお楽しみ。MFJでは規則書は年に1度作るだけで、シーズン中の改訂はおこなわない、としているから、紙の規則書だけ改訂部分を反映させることはないと思われるが、紙の規則書を注文した人にもまだ届いていない模様なので、さて、どうなっているか。紙の規則書だけ改訂が反映されていたら、それはそれで混乱の元になるので、一番は紙もWEB上のPDFも改訂版とするべきだと思われるが、MFJにもなんらかの事情があるのだろう。

つまらない勘ぐりでは、予算の問題かもしれない。PDFを作る予算は1回分しか用意していない。といいつつ、すでにふたつのバージョンの規則書が世に出ているわけだが、これはPDF制作会社が訂正をし忘れたかなんかで、金がかかっていない修正だったのではないか、なんてね。自然山通信が請け負っていれば、こんなのタダでやらされているレベルの仕事だから、少なくとも請け負っているのは自然山通信ではありませんでした。

そして現状、2025年の規則は本当にこれでいいのか、という問題があって、もしかしたらこれからまた改訂が入るかもしれない。競技を公平公正に行うのに、最も必要な競技規則が、なんだかふらふらいろんなバージョンがあるという不思議な現象。

競技者、競技役員は、ぜひ注意深く規則書を手に入れて(その時点で)正しい規則にて2025年トライアル競技を楽しんでほしい。