全日本選手権第4戦北海道・和寒大会
2025年7月13日
北海道上川郡和寒町わっさむサーキット
電動TY-Eでの全日本参戦以来、勝ち星に恵まれない黒山健一が、前戦もてぎ大会に続いて2連勝。往年の、にくらしいくらいに強い黒山が戻ってきたか。2ラップ目に難攻不落の第2セクションをクリーンしたのは見事だった。

氏川政哉は黒山に2点差で2位。「2位なんてなんの価値もない」と悔しさを露にした。2ラップ目、これまた難攻不落の第5セクションを2点で抜けるなど、いいところはありながらも勝ちきれなかった。

3位は柴田暁。1ラップ目の第2セクション、トップグループの中で真っ先にトライして、見事なクリーンを見せた。2ラップ目に減点を増やして、ポジションを落とすものの、今シーズン初の表彰台を獲得した。

柴田と同点ながらクリーン数の差で今季初表彰台を逃し4位となったのが小川毅士。クリーンしたと思いきや、出口ポイントのゲートマーカーを動かしての5点などがあったのが惜しかった。
柴田、小川と同点でSSを迎えた野崎史高だったが、SSは2点、5点と乱調。表彰台争いから5位に脱落した。野崎は序盤第2セクションで失敗した際に腰を痛めたが、無事に走りきっての5位獲得だ。

久岡孝二は武田呼人との6位争いに勝利。10位、3位と今シーズンの久岡は成績が乱高下しているが、今年の久岡はじりじりと成長を続けている。
武田呼人は、どうにも試合がまとまらない。トップ4がクリーンしたSSの2セクションも、武田は5点ふたつを記録してしまった。武田の悩みはもう少し続きそうだ。

世界選手権T3で活躍する黒山陣は、125ccマシンで初めてIASを走って歴史を刻んだ。過去、成田匠がヤマハが手を入れたTY-S125F改200ccでIASに参戦したことはあるが、きっちり125ccマシンでの参戦は初めてになる。目標は6位ということで、6位と3点差でSSを迎えたが、やはり排気量の差は決定的だったか、SSを5点、5点となって8位になった。
黒山のアシスタントには、父親の黒山二郎がついた。これまで、人のアシスタントは兄の陸人がついていたが、今シーズン、人が戦った世界選手権では、18歳以下のライダーの参加には保護者の動向が義務づけられていて、黒山陣・陸人のコンビは一時的解消となった。それで陣・二郎の親子コンビが誕生し、それに伴って黒山健一・黒山陸人の叔父・甥コンビが誕生して、今シーズンの世界選手権と全日本選手権を戦ってきた。陣が全日本に復帰するにあたり、コンビを元に戻す予定もあったが、このコンビネーションも意外に悪くないということで、シーズン前半同様のコンビネーションでこの大会を戦うことになった。

SSに残ったのはあと二人、武井誠也と野本佳章だ。武井は前回SS進出を逃しているが、実力は充分。トラブルに泣くことが多かったが、今回はきっちり9位を獲得した。野本はこの大会のあとは、しばらく全日本には参戦できない。アシスタントなしでトライするが、ダイナミックなセクションの走破性はなかなか高い。
さて、今回SS進出を逃して大波乱だったのが小川友幸。第2セクションで失敗して飛び降りた際、腕をついて肩に大きな衝撃を受けた。そのままリタイヤとなるのではないかという状況だったが、テーピングを施して戦列に復帰した小川は、力の入らない右手をいたわりながら、2ラップ目には4つのクリーンをたたき出して11位で5ポイントを獲得した。簡単ではないだろうが、復調に向けて、忙しいインターバルになりそう。

宮澤陽斗が第9セクションで大岩に飛びついた勢いでそのまま前転、ドクターヘリで搬送されて心配されたが、鼻の骨折ということで、入院もせずに帰宅できるということで不幸中の幸いだった。
ランキングでは、黒山健一が氏川に16ポイント差をつけた。残り4戦、1位と2位は5ポイントの差があるから、氏川はこの先の全部を勝つ勢いで戦わなければいけないが、黒山はまったく楽観していない。
「勝てると思って勝てない、タイトルをとれると思ってとれない経験はいっぱいしてきた。10何年もチャンピオンから遠ざかって、タイトルの取り方も忘れているから、ひとつひとつをきっちり戦う以外に考えることはない」
と黒山。しかしこの日も
「乗れていないわけではなかったけれど、どうも勝てる感じではなかった。2ラップを終えて、トップにいるというんで驚いたんです。SSでは政哉との点差がわかっていましたから、1点まではつけると計算ができました。今回のSSは、足をつけば抜けられる、という設定ではなかったですけども」
と試合を振り返った。調子がいまひとつでも勝ちを握るのは、にくらしいほどに強かった黒山時代の再現ではないだろうか。
しかし今は、その当時にはいなかった氏川政哉がいる。これからのシーズン後半戦、見逃すわけにはいかない。
●国際A級
平田貴裕が今シーズン初勝利。平田の勝利はIAで戦列復帰を果たした2024年開幕戦以来。2位には2勝をあげてランキングトップの高橋寛冴。ランキングでは平田が高橋を追いつめて、高橋のポイントリードは2ポイントとなっている。

第2戦で勝利してランキング2位だった小野貴史は、今回6位でランキング3位に一歩後退。1ラップ目は2位だったから、2ラップ目序盤のふたつの5点が惜しかった。
今回3位に入ったのは中里侑。2度目の3位表彰台だが、今シーズンは初めて。ランキングでは5位につける。
中里をランキングではさんで、今回4位ランキング4位は永久保圭、今回5位ランキング6位は黒山太陽。中学生のコンビが着々とIAクラスの上位を独占すべく、実力を蓄えてきている。
●レディース
中川瑠菜は4連勝を達成した。しかし本人が「今回は過去イチでやばかった。メンタル敵にもきつい戦いだった」と吐露するように、兼田歩佳の成長が著しい。結果は1ラップ目も2ラップ目も中川には一歩及ばなかったが、これからはどうなるか。

他クラスはベテランと若手の戦いが白熱しているが、レディースは若手vsさらに若手の戦いになっている。
今回はIBと同じセクション設定が多く(そのようにすべしというセクションづくりの心得があるとのこと)、今シーズン初参加の木村亜紀には厳しい戦いとなった。地方選手権に参戦経験のあるNB以上のライダーであることが参加資格だから、IBと同等のセクションを用意するのはあんまりだ、という意見もあるだろうし、全日本だからクラスを問わず高い向上心を持つ女性に集まってほしいという方針もあるだろう。いずれにしても、地方選手権参戦経験ありのNBという参加資格は風呂敷を広げすぎではないか。NBポイントランカーくらいにしておけばいいのにと思わないでもないが、こういうのを決めるのは、たいへんにむずかしい。
●国際B級
IASが第1セクションをトライする頃には、たいていIBの2ラップ目がやってくる。今回もそれは同様だったが、やってきたのは木村倭、寺澤迪志、岡直樹と、IBの一番最後にスタートしていった面々だった。
今回はオールクリーン勝負だと思った、と木村。同じオールクリーンなら競技時間が短い方が上位になるから、早回りを選んだ、ということだ。

それでも、最後まできっちりオールクリーンで走りきったのは木村だけだった。文句なしの勝利だった。木村は世界選手権T3に出場して帰国したところ。世界の舞台を経験してきては、IBセクションはいつも以上に簡単に見えたのではなかったろうか。
木村は1戦を欠場しているので、ランキングでは今回2位(減点1!)の寺澤が6ポイント差でトップ。木村はランキング2位につけている。小倉功太郎がようやく今シーズン初表彰台で、開幕戦勝利の後、第2戦18位、第3戦は骨折で欠場した岡は、指にピンが入った状態で4位に入って、ランキングも4位。
●オープントロフィーNA
今回は宮城からの参戦が2台だけのさびしい顔ぶれとなった。承認大会であり、全日本格式ではないのだが、せっかくクラスがあるのだから、もうちょっと盛り上がらないものか。承認大会ではなくて全道選手権併催にしちゃったり、なんなら東北選手権NAクラスも併催にしちゃったりしたらどうなるだろうかしら? 妄想です。
