独特のトライアル道を貫くハイメ・ブストが、ベータと契約してファクトリーライダーとして世界大会の舞台に戻ってくる。
ブストはスペイン北部のビルバオ出身。2014年にトライアル2(当時はジュニアカップと呼んだ)のチャンピオンを獲得、翌年GPクラスのデビューとともにエースチームたるレプソル・モンテッサのナンバー3に抜擢され、初のGPクラスをランキング6位とする。3年間モンテッサで戦うも、2018年にガスガスに移籍、開幕戦のもてぎで自身の初優勝を達成。その後、ヴェルティゴ移籍を経て、再びガスガスへ。ガスガスで通算4勝、ヴェルティゴで5勝をあげる、現役ライダーではトニー・ボウに次ぐ勝利数を記録している。

ボウをしのぐ切れ味のテクニックには早くから定評があったが、ブストの個性をチームが持て余すケースもあって、近年のアルベルト・カベスタニー率いるガスガスチームとは比較的いい関係ができていたようだったのだが、親会社KTMの決定でガスガスは世界選手権から撤退。ブストは新たなマシンを探すことになった。
ブストほどのテクニックの持ち主なら、次のマシンやチームはすぐに決まると思いきや、これがなかなか難航。ガスガスがファクトリーとしての参戦を取りやめた2025年アウトドアシリーズの後、ブストはスペインの有力トライアルショップ、NON STOPのサポートを受け、旧型ガスガスを完璧に仕上げて出場、これでボウを破って勝利したりもしている。このガスガスは1年落ちとかのものではなく、KTMがガスガスの経営に参画する以前のバージョン。ブスト独特の反骨精神が現れた結果のマシンチョイスだったのかもしれない。
しかしここへ来て、やはりブストの才能を放っておけないチームが現れた。それがベータだ。ベータは、2014年にブストがT2タイトルを獲得した時の愛車だった。チームを一回りして、ブストの華やかなトライアル人生のスタートポイントに戻ったといえる。
折りしもベータは、長年活躍したEVOからSINCROへの世代交代をしたところ。ベータにはイタリアのマテオ・グラタローラ、イギリスの新鋭、ハリー・ヘミングウェイがいるが、さらにブストの加入で、なかなか強力な布陣を組むことになった。
ブストとベータの契約は、まずは2026年と2027年の2年。まもなく始まる世界選手権アウトドアシーズンは、熱く、楽しみなものになりそうだ。


