雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

トラッパー今昔

 今さら新製品でもないんだけど、トライアルが発信元で、ひそかーに流行しつつある道具がある。ぱわあくらふとの『トラッパー』だ。
 写真を見てもらえば説明の必要はないが、一応説明すると、トライアルマシン(寸法をとったのはガスガスのプロだそうだ)から車輪とエンジンをはずしたもの。サスペンションやブレーキはついてない。
 あらためてぱわあくらふとのWEBサイトを見ると「ホッピングトレーニングマシン」となっているけど、最初にトラッパーを紹介されたときには、ぱわあくらふとの小玉さんも「なんのためのものだか、ぼくにもよくわかんないんです」とおっしゃっておられた。なにに使うかは、お好み次第ってとこだ。

 これを持って大勢の人が集まっているところへ行くと、なかなか楽しい。みんな、大汗かきながらひっこひっこやっている。子どもたちなんか、渡したら最後、返してくれない。
 おもしろいのは、トラッパーに集まってくるのは、トライアルをやっていない人たちが多いということで、トライアルのベテランたちは、どっちかというと遠巻きにトラッパーに興じる人の群れを見ているケースが多い。
 ぱわあくらふとによると、ガルル誌上で小林直樹さんが紹介してくれたこともあって、エンデューロ関係と思われる人と雪国の人に売れているという。雪国の人は、オートバイに乗れない季節に、トラッパーでインドアトライアルをするんでしょう、きっと。してその売れ行き、去年の秋くらいに聞いたら、500台くらい売れたっていうから、トライアル界にあっては、なかなかのヒット商品なのだ。
 バイク用品店「ナップス」のWEB担当であられるふじいさんの『バイク用品屋さんブログ』でも2月8日付けで紹介されていました。「面白い!!腕を磨きたいバイク乗りには絶対オススメ」だそうです。
 ナップスではトラッパーの販売もしていますが、ふじいさんが遊んだみたいに、試乗マシンがあるわけではないみたい。こんなのが店先にあると、楽しいと思うけどな。
 ところで、先日杉谷が平野博さんのお家をおじゃました。平野さんは日本バイクトライアル連盟の会長さんで、国際バイクトライアル連盟の会長さんでもあって、またモンティ・ジャパンの代表者でもある。今でも現役でバイクトライアルを楽しむ、バイクトライアル界の第一人者といっていい。
(ところでバイクトライアルという単語、すっかりオートバイのトライアルという意味でも使われるようになっちゃたがバイクトライアルは自転車トライアルのことを指すのが、トライアル界ではふつう。はてなダイアリーを見ても、そのようなことが書いてある。20年以上前、辻司さんが「バイクという呼び方を普及させたのはぼくだ」と語っておられたけど、とすると、今の誤解を広めたのも辻さんということかな?)
 で、平野さんに見せてもらったのがこれ。名前をホッパーというらしい。

新旧ホッパー

白いのがホッパー、赤いのがトラッパー

 平野さんが十数年前に発売していたもので、見る限りはほとんどそっくりだ。重量も構造もほとんど同じようなもの。外見でいちばん違うのは、フットレストの位置で、ホッパーはトラッパーより内側にくっついている。トラッパーのフットレスト位置はガスガスから来ているので、エンジンの分だけ幅広い。ホッパーはバイクトライアルマシンがベースになっているということかもしれない。
 平野さんによると、フロントアップやジャックナイフは、サスペンションが沈んだ状態からのアクションになるので、その状態を想定して設計したとのことだった。
 もうちょっとよく見ると、ホッパーはキャスターが立ってる、フットレストが高くて後ろにある、ホイールベース(とはいわないだろうけど)が短い、あたりがトラッパーとちがうところだ。
 両者を比較試乗してみると、外観が似ているわりには、ずいぶん操縦性がちがう。ダニエルをするには、ホッパーのほうが前後左右にコントロールする自由度があるようだとは、杉谷のインプレッションだ。

似た者同士

 見てもわかるが、乗ってみると、トラッパーはスイングアームが長い印象がある。フロントをあげる際には、ちょっと大きめのアクションが必要になる。ホッパーは、そんなに大きなアクションをすることなく、するっとフロントをリフトさせることができる。
 ダニエル競技会のようなものがあって、そこで勝敗を争うなら、ホッパーのほうが戦闘力がありそうだ。しかし、トレーニングマシンとして考えるなら、あんまり簡単にできてしまうより、少し苦労したほうがいいのかもしれない。現実問題として、ホッパーは今では手に入らないのだから、どっちがよいのかを悩む必要はないのだけど。ちなみにホッパーは、50台ほど市場に出たのだそうだ。
 ともあれこのトレーニングマシン、トライアル初心者には、なかなかよい道具であることはまちがいない。どこかで、体験してみてくださいね。