暑さ・台風・大雨なんかには負けないぞ。でもとりあえず大岩には登ってみたい。

自分専用の親指シフトキーボード

4回目になりました。ここからは、キーボードを自分専用に仕立てていく作業になりますが、ここからが本番。ここまでは準備段階ということでした。長かったけど。

実験はサボりましたが、実験でできあがるのはキーボードを標準マッピングに仕立てる仕様なので、このままでは自分好みにはなりません。自分のお好みにするには、それ用にセットアップされたソースファイルが必要になります。自分のお好みのキーボードマップは存在しないので、自分で作るか、似たようなものを作ってくれた人のものをお借りしてくる必要があります。

ということで、今回のこの作業の背中を押してくれた小関さんのGK61Pro_DS用のマッピングをお借りしました。というより、一から十まで小関さんのご指南のまま、作業を進めました。

https://github.com/ja7rhk/qmk_firmware_gk61_pro/tree/master/keyboards/skyloong/gk61/pro_ds

*小関さんのキー配置。このまんまでは、残念ながらぼくには使えない。

ぼくは小関さんのライブラリーをまるごと自分のストレージにダウンロードさせていただきましたが、keybords>skyloongのファイルだけダウンロードしてきて、qmk_firewireのKeybordsにコピーペーストすればいいのだと思います。

このキーボードの場合、ESCキーを押しながらUSBケーブルを接続すると、キーマップがリセットされて新たなキーマップを受け入れる状態になるということです。

なのでターミナルで
make skyloong/gk61/pro_ds:nicola:flash
を送るのですが、エンターキーでコマンドを送る必要があるので、GK61とは別のキーボードを接続するか、GK61でコマンドを送った直後にUSBケーブルを抜いて、
Trying again every 0.5s (Ctrl+C to cancel)……………..
という表示が出てきたら、なるべく早く(焦ることはない)ESCキーを押しながらUSBケーブルを接続します。この場合、.が17個並んでいますから、USB接続には8.5秒かかったみたいです。

ぼくの場合、この作業にはエラーが一つ出ていて
Done!
make[1]: *** [flash] Error 74
make: *** [skyloong/gk61/pro_ds:nicola:flash] Error 1
Make finished with errors
なんて感じの表示が返ってくるのですが、キーボードは問題なく使えました。エラーはどこかに存在するので、おいおい、知識が深まってくれば解消できるのかもしれません。

この作業は、makeというコマンドを使わずに、次のような指令を送っても同じ結果が得られるようですが、こちらはキーボードへの書き込みはまた別途行うことになるようです。
qmk compile -kb skyloong/gk61/pro_ds -km nicola
今やってみたら、こっちはエラーなく作業が終了しました。

さてしかし、当面の問題は、キーマップです。小関さんのキーマップは、ぼくが買ったのと同じGK61DSを親指シフトにするものなので(小関さんの作業を追いかけたので、当然こうなります)、このままで良好な動きをします。しかも小関さん、日本語変換のオンオフについて、Mac対応の記述もしてくれているので、Windows向けの部分をMac用に書き換える(コメントにして、キーボードに送らないようにする)ことで、最初からおおむね満足のいく仕様になっています。

それでも、これまで自分の手癖に合わせてキーマップをいろいろいじってきて、それがすっかり体に染みついているものもあります。そういうの、これを機にスタンダード(に近いキーマップ)になおそうかなとも思いましたが、せっかく自在にキーマップをいじれるツールを手に入れたのだから、新しいものに慣れる労力を使うより、さっさと自分仕様にしてしまうことにしました。このキーボードを使って、誰かが親指シフトをしようとしたとき、なんだこりゃ、となるかもしれないけど、そんなことはまぁ、ぼくの知ったことではありません。自分専用というのは、自分にしか使えない、ということでもあり、それはそれで愉快でもあります。親指シフトの仕様というのは、時間の流れで少しずつ変化もしていて、最初のOASYSには親指クロスシフトで半濁音なんて仕様はありませんでした。これはOASYSとしては最後の頃の製品なんじゃないかと思われる、OASYS Pocketのキー配列です。

*オアシス・ポケットのキー配置(HHKBキーボードコレクションから)
https://happyhackingkb.com/jp/special/kb_collection/

ただしただし、小関さんの設定を自分の仕様にするには、ソースファイルを書き直す必要があります。CapslockとCTRL(コントロール)を入れ替える、なんてのは単に入れ替えればいいのでらくちんなのですが、もう少し複雑な変更を企てると、ソースがある程度書けるようにならないと、いじるたんびにエラーが出て進まなくなってしまいます。このキーボードは、エンターキーの下にシフトキーがありますが、矢印キー(上下左右)を使いたいと思うと、これを上矢印キーにするしかない。小関さんはシフトは左手ばっかりで使うから、これは上矢印キーにしているのだそうで、もし右シフトが使いたいときには、ファンクションキー(このキーボードでは右ALT)を押しながらシフトキーを押すという仕様にしています。でももともとこのキーボードにあったのは、短く押すとシフト、長く押すと上矢印、という使い分けモードで、どっちがいいかなぁと悩んでいるところ。こういうのは使い慣れの問題でもあるから、厳密にどっちがいいのか、というのを見分けるのはむずかしいところです。

他については、無意識にキー入力をしていて、あれ? これは左カッコじゃなくて右カッコが出たんじゃなかったかな? なんて思ったら、その場でキーマップを書き換えます。今さらのように気がついたんだけど、左カッコ[(]はシフト+9で出すもんだけど、親指シフトの配列だと親指+8で出てくる。左に1個ずれている。不合理だなぁと思うんだけど、ためしにこのへんをいじってみたら、左カッコを出そうとして*が出てしまって、なんだかわかんなくなって、ぼくの指が無意識に親指シフトを覚えてるんだとあらためて思ったものでした。

ぼくが長年やってきたのは、遠藤諭さんはじめ、どなたかが作ったニコラのエミュレーションモードだったから、正しい親指シフトを使っている自信がありません。てもぼくが親指シフトを正しく使っているかどうかなんて、およそ世界平和になんの役にも立たない。百万歩ゆずって、ぼくが文字入力のアルバイトをすることになって、事務所へ行ったら正規の親指シフト入力を要求されたとしても、自分のキーボードとつなぎなおせばいいだけの話です。ということで、自分の勝手な解釈の親指シフト配列を、どんどん移植していったのでした。

*ぼくのキー配置。明日になったら変わっているかもしれない。

いまのところ、付け焼き刃的に必要なところだけ変更して、その場を乗り切っていますが、いつか、きっちり理解した上で、自分の仕様によりあったマッピングを作りたいと思うのですけど、さて、そんな日ははたしてくるでしょうか? あと、これが一番問題なのだけど、こうやって付け焼き刃的に加えた修正が、ぜんぜん別の場面で影響して問題を発生することがないとも限らないわけで、なにか起きたとき、問題解決の回り道になってしまうかも、というのがあります。

キーボードのマップの書き換えは30秒くらいで完了するので、なにかが起きたときにはひとつひとつ動作を確認しながらマップを変化させていけばいいんだけど、今度はあんまり抜き差しをしていると、キーボードのUSB-Cコネクタの寿命が早く終わってしまうのではないかと、よけいな心配をしなければいけなくなりました。

そうそう、このキーボード遊びを始めたのは、iPhoneで親指シフト入力したいなぁ、という思いつきからだったのですが、お見事、これはできるようになりました。USBケーブルでつながなきゃいけないし、それもふつうのUSBケーブルじゃなくて、iPhoneのデータ転送ができる特殊なやつを用意しなきゃいけないんだけど、できるようになりました。iPhoneで使うにはこのキーボードは立派すぎて似あわないけどこのうえないけど、ともあれ夢の一つはかなったのでありました。

次にやりたいのは、このキーボードをWindowsマシンにつなげることもあるかもしれないから、その場合、レイヤーを使って(このキーボード、変身ボタンを押すことで、いろんな仕様に変化させることができる)Windows親指シフトを作っておきたいのと、もし親指シフトじゃない入力をしたくなった場合のために(飯を食いながら原稿書くなんて横着する場合は片手が使えないから、ローマ字入力の方が便利)、ローマ字入力のレイヤーもあるとかっこいい。

あと、キーボードの状態によって、LEDがいろんな色で光るんだけど、この色を変えたくてちょっといじってみたんだけど、見事に失敗してしまったので、これを思い通りにするのが、当面の目標になるかな。

その前に、キートップを別のものに変えて、お好みの外観にするのもいい。ということで、キーボード遊びはいろいろと、わくわくなのです。

はてさて、こういうのを書いていると、SNSの広告がキーボードだらけになる。たいていはスペースバーの長いふつうのキーボードで、ぼくにとってはほぼ不要な情報なんだけど、ときどきスペースが分割された親指シフト向き、しかもQWKプログラミング可能なんて商品も出てきたりもします。でも3万円とか4万円とか、お高いのばっかり。HKKBの一番新しいのも4万円台になって、キーボードにこだわる人は3万円以上の買い物をする、というデータが出ているのかもしれないけど、1万円以下でこんなキーボードが買えるとなると、何万円も出してキーボードを買うのは、ちょっとちがうかなと思うようになりました。

でもまぁ、キーキャップを別に買ったり、キースイッチ交換したり、あるいはまた別のテーマに手を出したりすると、トータルではそれなりお財布は軽くなっているのかもしれません。まぁいいか、ですけど。

並べてみたら、うちにはこんなにたくさん外付けキーボードがあった。一番上からみっつはAppleの純正キーボード。テンキー付のフルキーボードはでっかいしキータッチはぜんぜんだめだし、ほとんど使ってない。

3番目のBluetooth接続のキーボードはノートパソコンにつなぐのにときどき使ってた。快適じゃないけど、MacBook Airのキーボードよりはいくらか快適。

4番目は1,000円くらいで買ったバッファロー製の安物だけど、キータッチはなかなかよかった。一時、Windowsパソコンを併用していたことがあって、それ用に買ってみた。これもほとんど使っていない。

5番目は、事務仕事用にWindowsパソコンを手に入れたときにおまけみたいについてきたもの。スイッチ入れて5分仕事して終了してそれきりみたいな使い方で、キータッチうんぬん以前にほとんど使っていない。

その次のふたつがHHKB。Lite2とProffesional。Lite2はキータッチがいまいちで、あんまりお勧めできない。Proffesionalはお上品なキータッチがすばらしい。親指シフト用に、スペースバーを「おやうちくん」に取り換えている。

手前のふたつが、今回のやつ。どっちも同じものだけど、キーキャップを交換したので、ちょっと見ちがうキーボードに見える。キーキャップは中国製で、いくらでも交換できるから、気分転換するにはよきかな。