第2回
ぼくの親指シフトの歴史をつづるつもりはなかったのですけど、すっかりそれだけで長くなってしまいました。ごめんなさい。
HHKBキーボードとLacailleによる親指シフトに不満・不足はまったくなくて、なのでGK61を使うひっ迫した理由はなにもありません。だけど買ってしまったので、仕事のすきまに、これを使えるようにしようと思いました。いきなりQMKプログラミングを始めるのは無理ぽだったので、もうひとつの、VIAというキーマップ変更プログラムを使ってみようと思ったのです。VIAはQMKのプログラミングを、目で見ながら操作できるツールのようです。
しかしこのVIAも、なかなか手ごわかった。画面を見ながら操作できるのはいいとして、そもそもキーボードを認識してくれなかったり、今回認識しても次回はダメだったり、ちょっとなぞ。それでもなんとか、懸案だったコントロールキー(CTR)とCapslockを入れ替えて、左右のスペースキーをそれなりの機能にカスタマイズして、これまで同様のエミュレーションソフトを介して親指シフト入力ができるようになりました。
エミュレーションソフトはLacaille。アプリケーションとして動くから、システムの深層を書き換えたりする必要がないし、それでいてけっこうきめ細かくキーマップを変えられる。親指シフトのためのツールではあるけど、単純にキーを入れ替えたい人にも使いやすいのではないかと思います。ともあれ、Macで親指シフトをしようという人には、けっこう使われてるんじゃないかと思います。
GK61キーボード、使ってみると、キータッチがたいへんお好みで、HHKBに戻らなくてもよくなっちゃった。HHKBのキータッチはとても上品なんだけど、あまりにも上品すぎる。もっと下品に、カチャカチャいうキータッチがぼくはお好みみたいです。こんなカチャカチャいうキーボードはうるさすぎて、喫茶店で仕事するには向いてないと思いますけど、仕事場で使う分にはなんの問題もないです。もちろんこのキーボード、最初にキースイッチを選んだけれど、あとからキースイッチを交換することもできるから、もうちょっとHHKBに寄せた静かで上品なキータッチにもできるはずです。
キーボードは、だいたいどんなキーボードでも(といいつつ、日本と英語圏のキーボードしか知らない。フランス語のキーボードはまた別みたいだし、アラビア語はもっとすごいことになってそうだけど、どうなっているのかは知りません)メインの3段はたいして変わりはないから、キーボードが変わっても、そんなに違和感はなく入力ができます。ただ、メインの3段以外の部分、数字キーの部分とかエンターキーとかカーソル(矢印)キーとかはけっこういろいろなので、使っているうち、そのへんに不慣れゆえの違和感が出てきます。今回は、なんせJISキーボードからUSキーボードへと使用環境が変わってますから、違和感ありありでもしょうがないですね。まずはUSキーボードがどこまで快適でどこまで違和感なのかをさぐりつつ、日常的に使って、このキーボードを余生の伴とするかを決めようと思いました。
違和感というか、不具合はあります。これまで、日本語変換は「カナ」キーでオン、「英数」キーでオフにしていました。でもUSキーボードにはこのキーがありません。VIAではカナキーと英数キーをどこかのキーに設定できそうだったんだけど、思ったように動きませんでした。設定できるふりしてるだけだったのかもしれません。
Mac OSでは、日本語変換のオンオフを、コマンド+スペースで変更できます。これはOSの仕様なので、キーボードがなんであろうと使えます。カナキーと英数キーがないので、これで日本語のオンオフをやってみました。コマンド+スペースはちょっと使いにくいので、コントロール+スペースに変更しましたが、これはMacのシステム設定>キーボードで行いました。
ただこの操作は、トグル操作です。一度操作すると日本語になり、もう一度操作すると日本語がオフになります。今、英語が入るのか日本語が入るのかは画面の端っこの入力モードを確認しないとわかりません。あるいは、恐る恐るキーを打ってみて、英語が入るか日本語が入るか確認するかです。めんどくさい。日本語モードになっていようといなかろうと、カナキーを押せば日本語モードになるという仕様のほうがわかりやすいです。それをやるには、VIAとLacailleでは無理っぽい。
ということで、本腰を入れてQMKに取り組むことにしました。取り組むといっても、ゼロから学ぶQMKなんて本を買ってくるとか、そういうまじめさはなくて、うまくできたよ、という人のWEB記事を参照にしながら、その記事にコメントのかたちで質問してわかんないことを教えてもらうという教えてくんです。当初、Facebookの親指シフトグループでやり取りしていたら、1日に何度も質問を繰り返すので、質問が管理者預かりになってしまったりしました。興味がない他の参加者には迷惑だったにちがいないから、確スパムと変わんない。
これだけ質問攻めにせざるをえなかったのも、さっぱりうまくいかなかったからです。Facebookのグループには興味がありつつプログラミングにうといからと一歩踏み出せずにぼくの動向を見守ってくれていた人もいましたが、ぼくの右往左往を見てすっかり意欲を失ってしまったようです。申し訳ない。
まず、QMKというツールが、キーボードを自在に改造したいというかなり特殊な方々のものであって、あんまり一般的でないからだと思うんですが、検索しても、わかりやすい使い方とかが出てこない。そしてさらに、先人のみなさまたちはWindowsとかLinuxとかを使っていて、Macを使っている人はごく少ない。ぼくが悩んでいるところが、Macの悩みなのかQMKの悩みなのかがよくわかんない、ということも多々ありました。
一番やられたのは、いろいろ悩んで各種ツールをインストールできて、PATHの通し方も少しわかってきて、いよいよキーボードのソースをコンパイルしてみようかという頃になって、もう一度ゼロからインストールをやり直したら(そこまでのインストールが付け焼き刃だらけで、まともにやった自信がなかったから)、あとからわかったのですが、インストールスクリプトにバグがありました。言われた通りにインストールしたってうまくいかないという事態が発生していました。こっちはそんなことにはさっぱり気がつかないもんで、あー、ぼくには向いていない、もうダメだと天を仰いでいたわけですが、ちょうど、先生が、同じように悩んでいる人がいるのを見つけてくれました。ぼくのせいじゃないとわかってちょっと安心ですが、だからといっていきなり解決するわけじゃないです。その頃ちょうど締め切りになったので、しばらくキーボード遊びを放棄して、2週間くらいしてからもう一度やり直してみたら、すっきり動いた、というのが顛末でした。たぶん、その2週間の間に、インストールスクリプトが修正されていたんだと思います。
こういうとき、同じ環境で同じように悩んでいる人がそばにいると、話は早いです。ぼくがご教示いただいているご指南さまはMacユーザーではなかったから、ぼくの悩みがぼくのへまなのかMacの問題なのか、判断がつきません。全世界に範囲を広げると、もう少し同じく悩んでいる人を見つけられるということですが、その場合は日本語では通じません。検索サイトに翻訳を依頼して、さっと日本語と英語を翻訳してもらっていましたが、それでもなんとか意味は通じるようです。
ということで、この間のいろいろあったお悩みは、今となっては意味がないのですが、どこかに原因があるのだろうとあっちこっちを検索しまくって、ちょっとだけその筋のことが見えるようになってきました。といっても、用語に対してのアレルギーがちょっと薄らいだくらいだけど、それだけでもけっこうな進歩だと思えちゃいました。言ってみれば、それまでアラビア語並にわけわかんない言語だったものが、フランス語か英語くらいの難解っぷりになったくらいです。それくらいでも、皆目わからないに比べるとぜんぜんちがうもんです。
段取りとしては
1.XCODEを使えるようにしておく
2.BREWコマンドを使えるようにする
3.QMKを使えるようにする
4.キーマップのサンプルを入手する
5.プログラミング用のエディタを用意する
6.QMKの使えるキーボードを入手する
7.キーボードをカスタマイズする
という順序になるのではないかと思います。ワケワカメで混乱したのは、1〜3の、最初の3段階でした。バグがあったとされているのは、2の過程だったと思います.
<つづく>
1回目:https://www.shizenyama.com/shizenyama/41893/
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