2月7日、広島県海の見える杏の里トライアル場で、スーパーカブ(およびそれに類するマシン)によるトライアル大会が開催された。
優秀なトライアルマシンがいきわたり、技術のあるライダーが台頭する一方で、トライアル全体が先鋭化しすぎて先すぼみとなっていくのを危惧したケニーズクラブの河村國夫氏が、オートバイ遊びの原点とも言えるスーパーカブに目をつけたものだ。
最初の大会は、12名のカブ使いが集まった。
スーパーカブは、たいへん優秀なオートバイだ。たいへん優秀だが、トライアルマシンとしてはお世辞にも優秀とはいいがたい。タイヤは小さいし、フロントフォークはテレスコピックでなく、路面のデコボコに合わせてあらぬ動きをするし、マフラーは地面すれすれ。ブレーキペダルはそのマフラーの、さらに下側を通っている。トライアルなんてできないと思うほうが、ふつうだ。
しかし、最近の人は知らないけど、今45歳より上のライダーにとって、生まれて初めて走らせたオートバイがスーパーカブだったという人は少なくないはずだ。30年も前、高性能なスポーツバイクが家にあるなんて人はほとんどいなかったが、日常の足にスーパーカブを所有している家は多かった。免許を取って、あるいは免許を取る前に、自分ちの庭先でおっかなびっくり乗ってみたのが、めくるめくオートバイ体験のはじまりだった。
走らせることができるようになると、いろんなことがしたくなる。そんなこんなで、どんどん要望は大きくなって、オートバイも優秀になって、今、みんなはトライアルをやっている。鬼のようにグリップするラジアルタイヤ、低速ではしっかり路面をつかみ、高速では一気に爆発的なパワーを発揮するエンジン。これを走らせ、岩から岩へ飛んでいくようなテクニックも、そんなに珍しいものではなくなっていった。
でも、そうなるとトライアルの敷き居は、どんどん高くなっていく。トライアルバイクを買っても、長いこと下積み時代を過ごして修業を積まないと、諸先輩といっしょに遊ぶことができないような感じもある。
トライアルはマシンの性能如何ではなく、ライダーのテクニックにある。どんなに優秀なマシンを用意しても、最後にはライダーの実力が高い者が上手に走る。でも、それがトライアルマシンでなく、うーんとポテンシャルの低いスーパーカブだったら……??
なにもスーパーカブで大岩を登ろうなんてわけじゃない。平らなところをくるりと回るくらいの楽しいトライアルを思い出そうじゃないか。その道具がスーパーカブならば、トライアルマシンを買えないでいる(買わないでいる)トライアル未体験のみなさんも参入してこれるかもしれない。
オートバイ体験はスーパーカブから。それはトライアルの世界にも当てはまるだろうか。
(写真は、ちょっと過激っぽい風景に見えますが、うけねらいで写真を送ってきたのだと思いたい)


