ホンダRTL Electricの2025年の活動計画が発表、チームメンバーが紹介された。すでにHRCの活動計画で発表されている通り、ライダーはミケル・ジェラベルト。2016年ヨーロッパチャンピオンで、2025年Xトライアルではヴェルティゴでスポット参戦していたライダーで、弟のアニオルはTRRSのエースライダーとなっている。

出場クラスは、これもすでに発表されているようにトライアル2。マシンは2024年全日本選手権で藤波貴久が3戦のみに出場、3連勝を飾ったもので、これにさらに開発熟成が進められたものになっていると思われる。
トニー・ボウがこれに乗ってGPクラスに出ることはないのか、と藤波にたずねたことがあったが、レプソルチームは必勝チームだから、開発中のマシンがこのチームの戦列に加わることはない、勝てるマシンになってから、というような答をもらった。現状のRTL Electricは、全日本で勝てるところまでは実証されているが、GPクラスでの実績はない。まずはトライアル2で実績を積んでさらなる実力を身につけるのが道筋となったのだろう。
マシンは基本的には藤波が乗ったものの発展型で、外観から見えるのは、フレーム関係に変更が見られる程度。ただモーター関係は外から見たのでは同じでも、まったく別ものといえるくらいの差異を与えることができるから、外観以上に大きな進化を遂げている可能性は大ありだ。

トライアル2でのこれまでの電動マシンの実績は、ガスガスのソンドレ・ハガとEMのガエル・シャタニュが1勝ずつ(2024年の開幕戦と最終戦!)、黒山健一と氏川政哉が日本GPで11位と12位に入った。ハガは2023年のT2チャンピオンだが、GPクラスには参戦経験がない。対してジェラベルトは現役のGPライダー。ライダーのポテンシャルとしては、ホンダ陣営にだいぶ利がありそうだが、実際のトライアルではどんなことが起きるだろうか。
チームマネージャーには、長く藤波のマインダーを務め、全日本でも藤波のアシスタントを務めたカルロス・バルネダがつく。写真に写っている二人はマインダーとメカニック。マインダーはガスガス時代のアダム・ラガをやったこともあるベテランだと思われるけど、ちがったかな?。チームメンバーは、以下の4人。
ライダー:ミケル・ジェラベルト(Miquel Gelabert)
マインダー:ラモン・ガルシア(Ramon Garcia)
メカニック:アレックス・ソラ(Alex Solà)
チームマネージャー:カルロス・バルネダ(Carles Barneda)
ホンダは、さらなるカーボンニュートラルを目指して、2040年までにすべての二輪車をカーボンニュートラルにする目標に取り組んでいる。RTL-Eはその企業戦略の一環だが、ホンダがトライアルにどんな革命を与えるか、まずはトライアル2がどんな戦いになっていくのかが注目だ
今回のRTL-Eの参戦で、自然山通信がひそかに興奮しているのは、これがホンダブランドによる、久々のトライアル全戦参加だということだ。エディ・ルジャーンの時代、1980年代はベルギーを拠点にホンダが直々にトライアル活動をしていたが、90年代にトライアルの拠点はスペインに移り、RTL250Rは世界の舞台ではもっぱらモンテッサCOTA315Rとして活躍した。現在、RTL260RやRTL301RRがモンテッサCOTAとして販売されたり世界選手権を走っているのも、この流れだ。
藤波はデビュー時にはホンダ名のプロトタイプに乗ったが、チームはプライベート体制だった。のち、モンテッサのチームテント入りをして、引退したときはチームもマシンもモンテッサだったが、この時代、ホンダの名前が前面に出たことはなかった。
RTL Electricは、ホンダ名での世界選手権(全戦)参戦という点でも、大きなエポックになるのではないだろうか。
