2025年開幕戦、今シーズンは二人の日本人ライダーがそれぞれのシーズンにフル参戦している。トライアル2の廣畑伸哉とトライアル3の黒山陣だ。
廣畑はこれが3シーズン目。モンテッサ・タレントチームで世界選手権参戦を始めて、環境もマシンも一変、2年目となる2024年の最終戦(の土曜日)に13位で初ポイントを獲得した。その後、スペイン選手権(T2)では優勝もして、いよいよ廣畑パワー始動開始か、という2025年だ。


Photos:Pep SEGALES
黒山は参戦2年目だが、2024年は2戦だけ試しに出てみた感じ。今年はチャンピオンを目指しての本格参戦となる。シェルコとしても、このクラスのタイトルを奪還するに、黒山の参戦は必要だったのだろう。
土曜日、黒山は2位、廣畑は13位
T3のレース1、黒山は悪くなかった。ライバルが5点を取っていく中、唯一5点なしで終盤戦に入っていく。鬼門は第3、第6、第10、第11あたり。ところが黒山は第8で3点となった。そしてこのあたりから、ベータに乗るヨナス・ヨルゲンセンが好調の波に乗り始めた。
第10、第11を、ヨルゲンセンは2点、2点で切り抜けた。対して黒山は3点と5点。ヨルゲンセンには5点差で初勝利はお預け。スコルパに乗るイギリス人、ハリソン・スケルトンと同点となったが、クリーン数は黒山に分があったので、2位黒山、3位スケルトンとなった。
レース2、みんな学習能力が高くて、第3はトップグループにはクリーンセクションになっていた。しかし黒山は、レース1でクリーンしていた第6で5点。これが痛かった。終盤第10、第11のスコアはレース1と変わらずだったが、ここでスケルトンに3位を奪われて4位となった。優勝はヨルゲンセン、2位はアメリカからやってきたシェルコ乗りのリオン・ランドだった。
一方、T2の廣畑。レース1では第1から5点で、あんまり幸先はよくないが、ここは優勝することになるビリー・グリーンも5点だったから、こういうひとつひとつに気にすることなく試合を進める気持ちが大事だ。しかしその後も5点が多い。5つの5点で28点、順位は18位だった。もう一歩でポイント獲得圏ではあったが、今年の廣畑にはもっと大きな期待がかかってしまっている。

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レース2、やっぱり第1から5点。しかし今度はレース1で5点5点だった第3第4をクリーンと1点にまとめてちょっと調子を上げてきた。第7と最終でレース1同様に5点となったのが残念だったが、それでも減点はレース1より10点減らして順位は13位。自身2度目のポイント獲得、そして今シーズン初ポイントだ。
ちなみに土曜日の総合順位は、13位に与えられる3ポイントで集計されるので16位となっている。従来のように、土曜日の成績を1ラップ目と2ラップ目の減点のトータルで出して1日の試合結果として見ると、廣畑は13位までジャップアップする。この日の廣畑にとっては去年までの集計ほうほうの方がありがたかったということになるが、16位という結果はシーズンを通じてはあんまり意味を持たないので、結局、どのような集計をしても、強い選手は強い、力量がきちんと結果に出る、ということなのだろう。
ともあれ、黒山は2位と4位で総合4位、廣畑は18位と13位で総合13位と、まずまずの結果となった土曜日だった。
日曜日、黒山が初優勝、廣畑は7位
第1セクションで1点減点から始まった黒山の日曜日のレース1。さらに第6で5点になって、絶好調のスケルトンに3点差をつけられて後半戦へ。後半戦は点の取り合いだった。クリーンができればそれにこしたことはないが、ちょっとでも少ない減点で、抜けた者が勝利を得る。あたり前だが、そのあたり前がむずかしい。
後半戦になっスケルトンが失速。優勝争いはヨルゲンセンと黒山の一騎打ちになってきた。第8でヨルゲンセンが1点、黒山が5点。ここで黒山は優勝争いどころか5位まで転落。しかしここから、いかに丁寧にセクション運びができるかどうかが勝負だ。
第10でヨルゲンセン3点、黒山2点、その差3点。第11でヨルゲンセン1点、黒山クリーン、その差2点。最終セクション、ヨルゲンセン5点、黒山3点、その差、ついにゼロ。クリーン数はヨルゲンセン6、黒山が7。黒山が勝った。
ここまで3戦をやって、ヨルゲンセンは2勝1敗、2位1回。黒山がタイトルを獲得するには、最大のライバルがこのノルウェー人となりそうだ。
レース2、黒山は前半はステディにセクションを走破していくが、後半がいけなかった。第7(トップグループはほとんどみんなクリーンだ)で5点、さらに第11、最終と連続5点。トップからの点差は7点だったが、これで順位は一気に6位まで落ちていた。

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総合では1位と6位で2位。優勝はヨルゲンセンとなった。初優勝はしたが、2日間で3勝したヨルゲンセンは早くもランキングポイントで14ポイントもリードを取った。これを媒介するには、黒山は勝ち続けなければいけなくなりそうだ。
さてT2の廣畑も、日曜日のほうが好調だった。第1セクションが難関なのはこの日も同様だった。しかしこの日の廣畑は第1をクリーン。第2では3点になるものの、ここもアルナウ・ファーレが5点になる難セクションではあった。この日の廣畑は調子がいい。

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勝ったのはブノア・ビンカスで減点14だったが、廣畑は21点。最終セクションでの逆転劇もあって(ハリー・ターナーが5点になって脱落した)見事7位を獲得した。やはり今シーズンの廣畑は一味ちがう。
ところがこれも黒山と同様に、廣畑もレース2がよろしくなかった。いい走りをしたレース1に比べると5点が3つ増えてクリーンが3つ少ない。減点もレース1より11点増えて、21位に低迷してしまった。7位と21位で、総合は13位だった。
このレース2、勝利したのはダビド・ファビアン、チェコ人。レース1はなんと29位で、奇跡的な大躍進だ。さらにこのファビアン、土曜日は両日15位で、総合順位では廣畑に次ぐ17位だった。逆に言えば、廣畑もいろんな歯車がうまく噛みあえば、優勝する力量は持っているのではないか、と思われる。
今シーズンは、藤波監督の率いるレプソルチームに負けず劣らず、T2とT3から、目が離せない。

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