日曜日の日本GP。雨は上がった。
とはいえ、太陽が出るわけではなく、気温は上がって少々暑かったけれど、蒸し暑い感じ。きのう、とことん濡れた土は、そう簡単には乾いてくれそうにない。セクションは、きのうよりいくつかゲートが外されていたところが多かったようだ。過去、土曜日に雨、日曜日に晴れという日本GPはけっこう記憶に多いのだが、そういう場合、日曜日は神経戦になっていた。ところが今回はちがった。

曇り空の下、塗れた泥は重たくなり、雨で流されることもない。コンディションは、土曜日とは比べものにならないくらい、悪いという。お客さんの足元が乾いていたのがせめても幸いだったけど、次のセクションに向かうのに大汗をかくアシスタント勢もいて、なかなかのサバイバル試合だった。
●トライアルGP
状況が厳しいほど、トニー・ボウのポテンシャルが光る。ライバルが5点を並べる中で、ボウはひとつひとつ、確実にセクションを抜け出てくる。進まないマシンを無理やり押しだしてくるのではなく、進めるべくして進めている。ボウだけが抜けたセクションも多く、結果を見ているだけでもその差は明らかだけど、走る姿を見れば、その差はますます一目瞭然になってくる。うまい。

日曜日の2位は、順位を分けあった末に、ガブリエル・マルセリがとった。レース1は1点差でハイメ・ブストに2位をとられたマルセリだったが、レース2は逆に1点差で2位を奪った。ホンダのホームラウンドでの成績は、ボウとマルセリにとっては特に大きな戦果となる。この日のワンツーは、最高の結果となった。
さらにパワーセクションでも、ボウがトップをとった。2025年からFIMがレース後におこなうとしたパワーセクションが、この日日本で初めて行われた。土曜日は悪天候のためにキャンセルとなっていたものだが、日曜日は場所を変更して、さらに全体会まではパワーセクションの1位から3位までにランキングポイント3点、2点、1点を与えるとしていたものを、1位のみ1点として、シリアスな選手権争いとショー感覚の折衷案を狙ったものに落ち着いた感がある。

パワーセクションはXトライアルのシステムと同様に、減点1を10秒、減点5を60秒と換算して、セクション走破タイムに加算して勝敗を競うシステム。以前におこなわれた予選は、減点が第一で同一減点の場合はタイムの速い者が上位となっていたが、順位の決定システムとしてはしっくりくる。ただ、パワーセクションがトライアルGPにとって有益かどうかは、まだわからない。
レース1で2位、レース2で3位、この日3位となったブストは、キレのいいライディングを随所で見せつつも、この結果に甘んじた。ボウとマルセリが両レースでクリーンした第10を両レースとも5点になったりしていて、仮にこれがクリーンなら、レース1ではボウにあと3点差、レース2では余裕で2位になっていた。トライアルとはそういうものだが、才能をもうひとつ結果に結びつけられない。
4位のジャック・ピースは大手柄だった。6位と4位での総合4位だが、2024年、ようやくトライアル2チャンピオンとなって、SSDTでは優勝したばかり。勝利経験が、こんなにライディングを変えるかというくらい、大きなライダーになっていた。泥々のマディはイギリス人の得意とするところだが、それを差し引いても、マテオ・グラタローラ、アニオル・ジェラベルトを下してのこの結果は素晴らしかった。
土曜日にトライアルGPクラス初参戦をしたパブロ・スアレスはポジションを一つ上げて両レース7位の8位となっている。おそらくランキングでは追いつきようがないから、ひとつひとつのレースの結果で、自信の実力を知らしめていくしかない。

トライアルGP結果
パワーセクション結果
●トライアルGPウイメン
ベルタ・アベランとソフィア・ラビノのシーソーゲームが続いていたGPウイメンだが、ここへきてアベランが本領を発揮した。ラビノに敗することが多いレース1を1点差で勝ちきり、レース2は10点差で圧勝した。
トップ争いにはからめなかったが、ケイトリン・アズヘッドはこの日も表彰台。同じイギリスのアリス・ミンタとのランキング争いを一気にリードして後半戦につなげることになった。

トライアルGPウイメン結果
●トライアル2
来るライダー来るライダー、次々に5点。スタートの早い、土曜日の結果の良くなかったライダーが5点になるのかと思いきや、終わってみれば第1から第4までは、トップ3もオール5点だった。
そんな中、なんとかセクションを抜け出してお客さんを沸かせたライダーもいる。第1セクションをを3点で抜けたソンドレ・ハガ、第2セクションをやはり3点で抜けたアルナウ・ファーレ、そして黒山健一だった。
レース1はビリー・グリーンが1点差でハリー・ヘミングウェイを下し、さらに1点差でミケル・ジェラベルトが3位。

レース2はハリー・ヘミングウェイが2点差でブノア・ビンカスを下し、ビンカスの1点差でグリーンが続いた。
EV勝負は土曜日に続いてホンダの勝ち。ビンカスはレース2で2位となるものの、レース1での8位が痛かった。ガスガスのハガは両レースで7位で6位、ヤマハは黒山がトップ。10位と8位で8位だった。

日本勢では、ポイント圏に入ったのは4人。黒山と、レース1で13位、レース2で9位に入った小川毅士、レース2で12位に入った野崎史高、クラッチやブレーキをなくすなど、マシントラブルの相次いだ氏川政哉がレース2で15位に入っている。

武田呼人はレース1ではポイント圏まで2点差の24位! レース2でポイント圏まで5点差の17位だった。
トライアル2結果
スタート時間など、タイムスケジュール