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トライアル事始

アクセルとクラッチの練習

 オートバイの扱いにおいて、アクセルワークをないがしろにしている教科書はひとつもありません。すべての教科書が、アクセルワークの重要性について語っています。そしてアクセルワークは永遠のテーマです。そこそこ上手になっても、なおアクセルワークの上手な人はいるし、世界のトップクラスになっても、まだアクセルワークは課題であり続けます。そして世界選手権で優勝するようなライダーになっても、とある場所のとあるエリアでは誰それのアクセルワークに勝てない、なんてことが起こったりします。
 なので素人さんの場合、アクセルワークの練習は、ちょっとやそっとではすまないと覚悟してください。なに、一生かかって、ちょっとずつ上手になればいいのです。そしてトライアルの場合、アクセルワークと同じくらいに重要なのが、クラッチです。


 アクセルワークとクラッチワークを、個別に練習する人を、あんまり見かけたことはありません。ふつうは、テーマを持ちながらも、練習携帯としてはセクションを走破するというメニューになります。
 ただ、ごくごく初心者のうちは、ひとつひとつのテクニックをある程度(完璧にマスターしようとすると一生が終わっちゃうかもしれないから)きちんと仕上げてから本格的なセクション練習をしてもいいのではないかと思います。
 まずアクセルワークの練習について。
 アクセルワークは、濡れた岩やどろどろの斜面など、できるものとできない者の差がはっきりわかるところで練習すると効果が高いと思われます。しかし一方、少しうまくなったくらいでは歯が立たない練習場所だった場合は、自分の上達具合がさっぱりわからないままに練習を終えなければいけなくなりますから、ストレスにもなります。ここはひとつ、ふだんの練習場を舞台に選びましょう。
 セクションを作るなら、いつもの自分の練習セクションより3段階簡単めでいいです。ターンも、そんなにきつくないほうがいい。いつもの通りに走って、ふつうにクリーンができるのを確認したら、今度はクラッチレバーに指をかけずに走ってみます。スタートしたら、なにがあってもクラッチには指をかけない。なに、簡単なセクションを設定してあるはずですから(もちろん、最初はセクションでなくてもけっこうです)あぶないと思ったら、そのままリヤブレーキを踏むだけでマシンは動きを止めるはず。なんにもこわいことはありません。
 クラッチの操作なしに走ると、クラッチはもう完全に直結になっていますから、アクセルワークがそのままリヤタイヤに伝わります。初心者なら初心者ほど、思うに反してぎくしゃくした動きになるのではないでしょうか。
 クラッチをなんとなくさわっていると、パワーがいい感じで逃げていくのでスムーズに走れるような感じになりますが、これだとアクセルワークが上手になりません。ここは腹を決めて、クラッチは後回しにして、まずアクセルワークを上達させてください。あとで、どうせクラッチも訓練しなければいけないのです。でもどっちが先かといえば、クラッチは使わなくても走れるけど、アクセルを使わないと、まず動き出すこともできません。そのアクセルがへたっぴなままでは、これから先が思いやられてしまうわけです。
 この練習は、丸一日やっているよりも、練習にいったときに10分間だけ、毎回やる、みたいなほうがいいかもしれません。どんなトレーニングでも、毎日少しずつといいますから。
 さて一方、クラッチの練習です。
 さきほど、クラッチは使わなくても走れると書きましたが、今のトライアル、クラッチの使用頻度がめちゃめちゃに高い。トップライダーでも平民ライダーでも、1時間トライアル遊びをしていたら、55分以上はクラッチ操作をしているのではないでしょうか。ツーリングなどはもちろん、モトクロスやロードレースと比べても、その差は圧倒的であると思います。
 なのでこれまた、クラッチ操作が(とても上手とはいわないまでも)まるでダメか少し上手かで、トライアル全体がうんと変わってくるわけなのですが、ちょっと長くなりそうだから、これはまた次回に。
 アクセルとクラッチというタイトルを付けておいて、アクセルだけになっちゃった。

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