大きな災害が相次いでいます。災害支援にトライアルは最適。しっかり腕を磨きましょう。

TDNで2位となった日本。勝ち取った2位か勝てなかった2位なのか

9月21日、2025年のトライアル・デ・ナシオン(TDN)が開催された。今年の開催地はイタリアのトルメッツォ。オーストリアやスロベニアとの国境に近い、イタリアの東端での開催だった。

TDNは、いろんな歴史紆余曲折を経て、現在は世界選手権クラス、女子世界選手権クラス、インターナショナルクラス、チャレンジクラスの4つのカテゴリーで構成されていて、すべてが日曜日に開催されている。チャレンジは男女1名ずつの2名、それ以外の3クラスは3名ずつが代表選手となって構成されている。

今年の日本チームは、小川毅士、廣畑伸哉、黒山陣の3名。選出は、全日本選手権の成績と世界選手権での実績から選考される。世界選手権と全日本選手権の実績を同じ土俵に乗せるのは簡単ではないが、選ばれれば名誉だし選ばれなければ気は楽だ。代表選手に、精神的、肉体的、時間的に少なくない負担がかかっているのは事実だ。だから選考基準を遵守しながら、ライダーの意思を尊重することになる。

Photo:Pep SEGALES

日本は2023年からインターナショナルクラスに参戦している。いわばBクラスだが、参戦初年度に勝利、翌2024年はメンバーを2人入れ替えて2連勝、今年はその同じメンバーで3連勝を狙っての参戦だった。

戦いは激戦だった。2023年に優勝争いをしたドイツと、2024年に優勝争いをしたアメリカ、そして日本の三つどもえの戦いは、セクション一つでのミスがリザルトを上下させる緊迫の連続となった。

5時間半の戦いの結果、日本の減点は11点。ドイツと同点だったが、クリーン数差でドイツは退けた。しかし1ラップ目から好調だったアメリカは2ラップ目にベストスコアを更新して、4点差で逃げ切られた。アメリカの勝利は、2000年、2005年以来の3度目。日本は2位。3連覇を狙った戦いだったが、悔しい結果となった。しかしやりきった結果でもある。1ラップ目はアメリカ、ドイツに次いで3位、2ラップ目に巻き返しての2位獲得だった。名誉あるリザルトだった。

されど。

日本にとっては連勝すればしただけ喜ばしいことだろうけど、勝負はこういうふうに実力が拮抗した戦いがおもしろい。世界選手権(ワールド)クラスではスペインが相変わらず圧勝しているが、これはもうどうしようもない。仮に日本が、インターナショナルクラスで圧勝を続けるなら、ワールドクラスに籍を移して参戦する選択となる。今回の結果は、今の日本にそこまでの実力は(とても残念ながら)ない、というのが明らかになった一戦なんじゃないかと思う。

インタークラスへの参戦となってから、なんで日本はトップクラスに参戦しないんだ、2019年にはトップクラスで2位になったじゃないか、とよく聞かれた。先日も、30年来のレース取材仲間から、あらためてこの質問をされたのだけど、全部説明したら納得してくれた。つまり、トライアル側の説明不足なんだな。なのでここでその解説もしておくことにする。

2019年イビザ(スペイン)、藤波貴久、小川友幸、黒山健一の3人の参戦でスペインに続いて2位になったのは、奇跡的な結果だった。奇跡を現実としたのは、3人ともがこれを最後のTDN参戦とし決めての背水の陣だったこと、日本人応援団の声援が熱かったこと、なによりはこの3人はみな世界選手権のフル参戦経験者で、しかもチャンピオン経験あり、優勝経験あり、4位入賞経験ありの粒ぞろいだった

2019年の日本チーム(左から小川友幸、藤波貴久、黒山健一)Photo:Pep SEGALES

TDNというイベントは、なかなか特殊だ。特に日本にとってはおおいに特殊になる。TDNは、世界選手権の個人戦が終わって、たいていその翌週に開催される。日本的なうたい文句としては「国の威信を懸けて」となるが、自然山的解釈としては、世界選手権が終わった、打ち上げ的なお祭りだと理解している。最終戦の取材にでかけると「いつ変えるのか、TDNにも来るのか? じゃ、TDNで会おう!」と声をかけられる。1年の締めくくりはTDN。締めくくりだから、ここから始める、ものではない、はずなのだ。

今年のワールドクラスのメンバーを見てみよう。スペインはランキング1位から3位までがそろっている。これは勝って当然だ。

2位のイギリスは、ハリーとジョージのヘミングウェイ兄弟とジャック・ピース。ハリーは今年のT2チャンピオン、ピースは去年のチャンピオン。そしてジョージは去年のT3チャンピオン。チャンピオンぞろいだ。GPクラスに参戦したのはピース一人だが、2位に入ったレースがあった。成長株だ。

イタリアはGP優勝経験もあるマテオ・グラタローラにT3チャンピオンにしてGP参戦もするロレンツォ・ガンドーラ、T2のヨーロッパラウンドに参戦中のフランチェスコ・ティトリの3人。

2025TDNワールドクラス表彰式。1位スペイン、2位イギリス、3位イタリア Photo:FIM

フランスはGP参戦中のヒューゴ・デュフレズ、去年GPクラスのブノア・ビンカス、元GPクラスのアレックス・フェレールの3人。世界選手権常連で揃える。

GPクラス4位フランスチーム、ブノア・ビンカス Photo:FIM

ノルウェーはT2チャンピオンのソンドレ・ハガが筆頭で、T2フル参戦のジェラルド・グンバルセンとジョー・サンドビックと、3人ともT2ライダーでチームを組む。GPクラスの5チームは、みんな世界選手権の常連、それもGPクラスのライダーか、そこに手が届くくらいのライダーがそろって代表となっている。

GPクラス5位のノルウエーチーム、その筆頭はT2チャンピオンのソンドレ・ハガ Photo:FIM

かつて、TDN参加に際して、ホンダとヤマハのライダーを代表とするのが難しい時期があった。ヨーロッパ製メーカーならば現地でマシンを借用することもできるが(日本GPで海外選手がやっているように)、特に日本でしか走っていないヤマハのマシンは、持っていくしかない。そうなると全日本を走るバイクがないとか、それ以前に会社としてむずかしい決済しないと動けないとか、問題は多い。過去に、そんな事情から2年ほど、現地にいる藤波貴久をエースに、中堅ライダーを派遣して(当時)4人1組の日本チームを組んだことがあった。

正直なところ、観察眼が節穴の自然山通信は、小川友幸、黒山健一に引っ張られている当時の日本のトライアルは、IASライダーの誰がTDNに出ていっても、表彰台争いくらいはできるのではないかと目していた。

それ以前の2006年、日本は4人の代表選手が揃わず、藤波貴久、野崎史高、小川毅士の3人での出場となった。1チーム4人でベスト3のスコアを集計する時代だったから、3人ではミスがそのままチーム減点となる不利な戦況となる。それでもこのチームは3位となった。4人のところ3人でも3位を獲得できるのだから、やっぱり日本はとっても強いのだ。そんな幻想を持ったものだったのだが、これはまったく見事に大外れだったのだ。

●TDN日本チームの記録
https://www.shizenyama.com/23391/
●TDN全記録
https://www.shizenyama.com/tdnallresults/

2010年、藤波貴久をエースに、小川毅士が2006年以来の2度目の出場、他に野本佳章と齋藤晶夫がメンバーとなった。この日本チームがどれくらい活躍するのか、試金石としても興味深いものだったが、この年日本は5位となった。つまり最下位だ。翌年、3度目の小川毅士、2度目の野本佳章、初参加の柴田暁と藤波貴久の4人がチームを組んだが、藤波は体調不良で欠場となってしまった。3人でがんばった結果、前年より一つ順位を落として6位となったが、この年は6チーム参加で、最下位という結果には変わりがなかった。日本が強いのは、藤波がいるから、なのはまちがいないが、藤波だけがいてもダメという現実を、この2年間でしっかり学習させられてしまった。そして翌年から2年不参加が続いて、やがて2015年から参戦が復活して、2019年の2位につながっていく。

日本がGPクラスを走るなら、フル参戦経験のあるライダーが不可欠だ(フル参戦すれば難でもいい、というわけではない)。藤波が引退し、小川友幸、黒山もTDNからは引退を宣言している今、フル参戦経験がある日本人は、現役のIASでは野崎、小川毅士、廣畑、黒山陣の4人しかいない。黒山は、今年までは125ccに乗るT3ライダーで、GPクラスは厳しいかもしれない。野崎はマシンの輸送に難点がある。小川毅士と廣畑は、T2フル参戦経験ありだが、GP出場の5カ国の顔ぶれと比べると、T2で戦った実績に見劣りするのは否めない。この顔ぶれでGPに参戦しても、過去の例から、結果は見えてしまっているのが現実だ。

日本代表がTDNのワールドクラスに復活するには、まず一人はGPクラスに現役参戦している必要があるだろう。他の2人は、T2クラス以上に現役フル参戦しているか、かつてフル参戦をしていた経験者が望ましい。できれば、限りなく上位で争っていてほしいけど、少なくとも日本だけのスポット参戦ではなく、フル参戦を経験したライダーであることを条件としたいところだ。つまり現状、日本にGPクラスに参戦する権利があるかというと、むずかしいのだ。インタークラス優勝だから出たいといえば認められると思うけど、その結果は、誰にとっても、特に代表選手たちにとって、心身ともにほろ苦いものになる予感しかないのが現状だ。

ということで2023年からインターナショナルクラスに舞台を移した日本だったが、このクラスなら勝って当然と思ったかどうかはともかく、勝負の世界はいつだって甘いもんじゃない。2023年も2024年も、本当に薄氷を踏む勝利だった。それでも2024年は黒山が125ccで参加しての勝利だったから、このクラスでなら日本は圧勝なんじゃないか、という幻想が生まれたのも確かだった。

2022年TDNインターナショナルクラス初参加、優勝した日本チーム Photo:Pep SEGALES

でもやっぱり甘くないのだ。2023年はドイツ、2024年はアメリカとの優勝争いだったのは、各国の実力が拮抗している証拠でもある。2023年、ドイツにはGPクラスに参戦していたフランツ・カドレックがいたが、この2年はメンバーから外れて、若手の新顔になっている。世界の国々では、どんどん次の世代が育ってきている。日本は3名とも前年と同じ顔ぶれでの参戦だったが、アメリカは1名が新人、ドイツは2名が新人だった。

TDNではライダー個々の成績は発表されない。エントラントはあくまでもチームであって、ライダー個人ではないからだ。おまえはもうトライしなくていいから、次のセクションに早く向かおうという作戦をとることもある。その場合、個人成績は当然悪くなるから、個人の成績を発表しない大義はある。ただ、各チームの全減点を探ることはできる。それを表にしてみた。

チーム総減点クリーン1点2点3点5点Pトータル時間
アメリカ7661441505005:33:16
日本11681242404605:26:26
ドイツ11661442404805:29:51
ベルギー3650175513010705:42:59
ポーランド36501041115012605:29:26

これを見ると、日本の戦力は、ライバルに比して負けていなかった。クリーン数はアメリカにもドイツにもふたつ勝っている。5点も少ない。アメリカに対して負けているのは、3点が一つ多いだけ。TDNでは各セクション、3人のうちベスト2人の点数をチーム減点とするのだが、3人の減点をすべて足してみると、日本は46点、ドイツが48点、アメリカ50点となる。ライバルチームには申告5点をもらって先を急いだ可能性もあるから、この点数をそのまま評価してはいけないけれど、トップ3チームの実力は横一線ながらも、ほんの少しではあるけれど、日本が秀でていたのではないか。

それでも日本は負けて、アメリカが勝った。

TDNの舞台で、日本チームにはいくつかの大きなハンディがあった。ヨーロッパまでの距離。人間が行くのも、マシンを運ぶのも時間とお金がかかる。今回、その移動をしたのは小川毅士だけで、廣畑と黒山はヨーロッパにいたから、このハンディはだいぶ少ない。そしてドイツはともかく、アメリカだって、大海をまたいで参戦している(大西洋を横切るのは、日本から来るよりはだいぶ近いけれど)。

Photo:Pep SEGALES

現地に集う日本人の数も、やっぱりハンディだ。自国のチームには、熱心な応援団がくっついて回る。選手やメカニックのぎりぎりの少数精鋭チームもあるけど、日本はT2のトップ争いをするチームだから、それではさびしい。取材に行かなかった自然山通信がこんなことを言ってもなんの説得力にもならないけど、現地にいる日本人はほんの一握りだ。この円安の時代に、イタリアまで応援に行ける奇特な人はそうそう現れない。伝統的に、イギリスは応援団が大挙して押し寄せていて、その圧が大きい。ライバルのアメリカやドイツからどんだけ応援団が来ていたかは分かんないけど、ドイツはそんなに遠くないし、アメリカだって日本から来るよりはだいぶ近い。応援する気があるかどうかより、地理的に圧倒的に遠くて不利なのは、日本チームのお気の毒なところではある。

Photo:Pep SEGALES

そして感じるのは、世界の国々は、チームプレイがなかなかすごい、ということだ。強い。
ひそかに妄想するのは、徴兵制で訓練を受ける国がけっこうあるから、そんな訓練で団体での戦いが強力になってるんじゃないかと思ったりする。トライアルは個人競技だけど、TDNになるとチームプレイになる。トライアルばっかりしていると団体訓練を受けることはないけど、徴兵訓練でチームプレイの心得を磨いているんじゃないか、なんてね。日本ではボーイスカウトとかガールスカウトもあんまり一般的じゃないから、そういう訓練を受ける環境があんまりない。そういう点で、団体競技の野球やサッカーはいい訓練になるかもしれないけど、徴兵と一緒で(日本の)軍隊式スパルタが問題になったりする。押さえ込むのが団体訓練のはずがない。

Photo:Pep SEGALES

チームプレイになって、戦力3の選手が3人集まって戦力7になるチームと、戦力12になるチームがある(ような気がする)。日本は戦力3が3人なら9となって、なかなかそれ以上にはならないんだけど、ライバルには往々にしてチームを組むとパワーがアップする。これでは、互角の戦力ではかなわない。個々の点数を足し算すると日本に劣るアメリカが、競技では優勝するのは、あるいはこんなところに理由があるんじゃないだろうか。そうそう、日本チームもチームプレイでパワー倍増したことがある。それが、2019年のイビザだった。あのときの日本は、もちろん選手も強かったけど、日本チームとしてとてもとても強かった。

チーム力、国力が弱い、というのは、現場にいると痛感させられる。ライバルチームにはふだん選手権を戦っていて代表選手になれなかったメンツが、ライバルチームのチェックに走り回っていたりする。以前は土曜日に女子、日曜日に男子の開催だったので、土曜日は男子チームが女子のサポートをし、日曜日は女子チームが男子のサポートに回っていた。そういう必勝体制は、残念ながら日本チームがとれたことはない(慣れない仕事をやって、よからぬ結果を招くよりはやんないほうがいい、という考え方もあるだろうけど、そういう考え方も日本的だと思う)。

TDNは、その1戦だけを見ると国の威信をかけた重大イベントだが、世界選手権的には個人戦を終えた後の打ち上げのお祭りだ。レギュラーシーズンのパドックに顔を揃えている選手がTDNの主役で、そのときだけやってくる国々はちょっとお客さん扱いになる。うんと昔はともかく、ここ10年ほど、TDNに参加する日本人選手が揃って世界選手権フル参戦組という例はない。TDNにフルパワーで挑むには、まずそこからだ。全戦参加が難しくても、せめてTDN前の世界選手権最終戦に参戦して、個人成績を出しつつ調整をし、それからTDNに挑む参戦計画が必要なんじゃないか(今回は、最終戦が”海外”のイギリスだったため、間に1週間はさまって、最終戦とTDNの両方に参戦するのはむずかしかった)。

ギリシャとかルクセンブルグとかラトビアみたいに、年に1度のお祭りに参加するのに意義を感じている国々だってもちろん存在する。でも日本は、参加するのに意義がある国じゃない。もうちょっと世界のトライアルに近いところにいて、もうちょっと上を目指せる存在。TDNだけに単発で出場するのは、もったいない限りなのだ。

現実問題として、TDN代表に選ばれてから、個人で最終戦一戦に参加しようとすると、個人負担がたいへん大きいという実績があって、なかなか厳しい。TDNのエントラントであるMFJが、個人戦の費用負担までする義理はもちろんないが、TDN以前に実績を積めば、TDNでの結果もよくなる(少なくともマシン慣れはする)可能性はある。その一方、TDNを前に大会参加をしてケガしたらどうする、という現実的かつ日本人的心配をする声もある。なにをするにも、いろいろむずかしいもんだ。

今回のTDNは、まずはアメリカがよくやった。そして日本も、やっぱりよくやった、と思う。TDNを見に行くといつもつくづく思うのだが、日本にはチーム力、国力が足りない。そしてそれはどうやって身につけていけばいいのか、TDNの本場のヨーロッパ(と言うより、イタリア、スペイン、フランスの3カ国で開催されることが圧倒的だ)から遠い日本から、そこを学習していくのはたいがいにむずかしい。

Photo:Pep SEGALES

■ワールド(GP)・ワールド(GP)レディース・チャレンジ

かつて日本も参戦していたGPクラスは、当時も今もスペインの圧勝。そのもうちょっと前、ドギー・ランプキンが覇権を握っていた時代は、スペインとイギリスが優勝を争っていたもので、そこに日本が割って入って、イギリスに勝って2位になると大喜びだった。日本はスペインに勝てたことがないけど、日本に負けることがあるイギリスが、スペインを破ることがあるのは興味深い歴史的事実だ。

Photo:FIM

ここでは、各代表選手の今シーズンの戦跡を並べてみた。スペインが圧勝するのは当然中の当然。GPクラス選手が一人もいないノルウェーが最下位なのはメンバーの戦跡からも一目瞭然といえるが、イギリス、イタリア、フランスの3カ国による2位争いは興味深い。

現役GP選手の数でいえばイタリアがちょっとだけリードしているが、フランスだって成績抜群とは言いがたいが現役、前年のGPライダー、元GPライダーの3人を揃えていて、戦績的には3カ国は横一線かと思われる。

しかし今年のイギリスは勢いが違う。T2チャンピオン、時期T2チャンピオンを狙うその弟、GPクラスで表彰台も視野に入ってきた急成長の逸材。そして国としてまとまると強いのは、イギリスが一番で、その点イタリアは少し淡泊な気がする。自分のできることをやれば結果がついてくるてな感じで、チームとしての盛り上がりはそれほどでもない。今回は、それが結果に出たような気がする。個別成績を見ると、イギリスはクリーン35にたいしてイタリアは38、イギリスの5点29に対してイタリアは28と、実力的には互角だったと思われるから、あとはチームプレイがうまくいかなかった、と言うことなんだろう。

GPクラスが5カ国なのはちょっとさびしい気もするから、ドイツ、アメリカ、そして日本をこのクラスに加えて、その代わりセクションレベルをもうちょっと落とす、という策はありかもしれない。順位は変わらないと思うけど、セクションがたとえばT2レベルになれば、元GPライダーがT2で必ずしも常勝できないように、結果にもなにか変化が表われるかもしれない。

TDN世界選手権クラスライダー一覧
国名ライダー2025ランキング最上位
1スペイン トニー・ボウGPクラス1位総合優勝12回
ハイメ・ブストGPクラス2位総合優勝1回
ガブリエル・マルセリGPクラス3位総合優勝1回
2イギリス ジョージ・ヘミングウェイT2クラス6位総合優勝1回
ハリー・ヘミングウェイT2クラス1位総合優勝2回
ジャック・ピースGpクラス5位総合4位3回
3イタリア マテオ・グラタローラGPクラス4位総合3位3回
フランチェスコ・ティトリT2クラス14位総合5位1回
ロレンツォ・ガンドーラGPクラス11位総合9位2回
4フランス ブノア・ビンカスT2クラス5位総合2位1回
ヒューゴ・デュフレズGPクラス8位総合6位1回
アレックス・フェレールT2クラス27位総合10位1回
5ノルウェー ハラルド・グンバルセンT2クラス11位総合5位1回
ジョー・サンドビックT2クラス17位総合10位1回
ソンドレ・ハガT2クラス7位総合4位2回
参考日本 小川毅士T2クラス28位総合11位1回
廣畑伸哉T2クラス18位総合13位1回
黒山陣T3クラス4位総合優勝2回

レディースは、なかなかの波乱だったんじゃないだろうか。同様にトップ3各国の選手の一覧を作ってみた。

TDN女子世界選手権クラスライダー一覧
国名ライダー2025ランキング最上位
1スペイン ベルタ・アベランGPクラス1位総合優勝9回
ライア・ピGPクラス2位総合12位6回
ダニエラ・ヘルナンドT2クラス3位総合優勝1回
2イタリア ソフィア・ラビノGPクラス2位総合優勝1回
アリシア・バチャッタGPクラス6位総合優勝1回
マリーナ・ガレーニGPクラス9位総合6位1回
3イギリス アリス・ミンタGPクラス5位総合4位4回
アリシア・ロビンソンGPクラス10位総合8位3回
ケイトリン・アドシードGPクラス4位総合3位3回

スペインはアベラン以外は戦力的にうんと見劣りする。イタリアとイギリスはほぼ同レベルに思える。ところが結果は、スペインの辛勝だった。アベランが全力でリカバリーを繰り返しての結果だった。しかもスペインは、1ラップ目は2位イギリスに6点差をつけたものの、2ラップ目にはイタリアがスペインを7点も上回る追い上げを見せて、最終的には3点差での勝利だった。

Photo:FIM

イギリスのイタリアも、今回はもらったと思ったりしたんじゃないだろうか。勝負はやってみなければわからない。油断していたとは思わないけど、油断は本当に禁物だ。

チャレンジクラスは、男女2名の混合ペアで構成される。

Photo:FIM

TDNチャレンジクラスライダー一覧
国名ライダー2025ランキング最上位
1ノルウェー ヨナス・ヨルゲンセンT3クラス3位総合優勝3回
マリア・エスランド女子T2クラス6位総合3位1回
2イギリス ハリソン・スケルトンT3クラス2位総合優勝3回
ソフィー・ベイリー女子T2クラス4位総合優勝1回
6アメリカ リオン・ランドT3クラス1位総合優勝3回
カイリー・グルーキー

このクラスが発足した当時は、まったく無名の二人がペアを組んでいる印象だったが、T3のトップランカーと女子T2選手がペアを組むようになって、きっと徐々に注目を集めていくことになると思う。日本も、これへの参戦を考えてみたらどうかなぁ。