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トライアルのルール

2017年MFJルール

MFJの競技ライセンスを持っている人々には、年が明けてそうそう、MFJの規則書2017年版が届いているはず。

規則書は、毎年微妙に修正が重ねられていて、わかりにくい部分がわかりやすくなったり、あるいは規則が変更になったり解釈が変わっていたりするから、競技に出る人は必ず一読して、競技会に参加する際には持っていくことをお勧めします。

競技ライセンス以外でも、競技役員のみんなには規則書が届くけれど、エンジョイ会員のみんなには規則書は届かない。規則書はMFJサイトからPDFファイルをダウンロードすることもできるので、そちらを利用してもらうといい。ただし2017年1月6日現在、サイトにはまだ2017年版のPDFはアップロードされていない(スノーモビルだけは2017年版が用意されている)。2016年版はあるけど、変わっているところもあるから、2017年版が用意されてからダウンロードするといいと思う。

*追記
2017年版規則書

2017規則書

2017年規則書で新たに制定された部分、変更になった部分を、トライアルに関係のありそうなところを抜き取って見てみる。

■国際A級スーパーのポイント獲得圏

IASは、参加台数が10台前後と少なく、これまでポイント獲得は上位10人と定められていた。昨シーズンは常に15名内外の参加者があって、壮絶なトップ争いとともに、ポイント獲得圏をめぐる戦いも熾烈だった。

2017年は、これが15位までポイント獲得となった。2016年の例では、全員がポイントを獲得していたことになる。これはランキング上は大きな変化はないが、もうひとつ、無得点ライダーは翌年のIAS資格を失うことになっている(世界選手権のポイント獲得者やトライアル委員会が特に認めたものはこの限りではなかった。そうじゃないと、藤波貴久がもし全日本に出場すると言い出した時、IASを走れなくなるから)。この条件が、ポイント獲得圏が広がることで大幅に緩和されることになる。

上級クラスで戦うのはなかなかむずかしい。IAでは何年でも挑戦の機会が与えられるが(2016年IAチャンピオンの久岡孝二はIA挑戦2年目だ)、IASでは1年やってだめならクラスを落としてやりなおせというのが正しいのか、それとも修業中は少しあたたかく見守るのかは意見が分かれるところだと思うが、規則はこの点について少々舵を取り直したことになる。

なお規則書にはないが、トライアル委員会の議事録によると、2017年の全日本選手権では、SS(スペシャル・セクション)に進出できるのは上位10名に限ることになるようだ。

■ゲートとゲートを結ぶテープはゲート

全日本選手権や地方選手権のセクションは、テープとゲートで作られている。テープは主にセクションの外周を示すもの、ゲートはクラス別の通過規制を示すものだ。ゲートは自分のクラスと他のクラスのゲートがあるわけだが、いずれのゲートも破損(わずかに動くことも含む)したら失敗(5点)となる(でも、たとえば後輪ではじき飛ばした石がゲートを直撃して壊したとか、木にぶつかったらその木に止められていたゲートが落ちた、という事例はセーフなので、むずかしい)。自分のクラスのゲートは、破損しなくても前後輪がわずかでもさわったらだめとなっている。セクションテープは、破損させなければよいということになっているので、現実にはテープを押しながら走っても減点となることは少ない。ゲートとゲートを結んでテープが張られている場合、このテープはセクションテープではなく、ゲートと解釈されるが、破損や接触についてのペナルティは、セクションテープへのペナルティと同様ということだ。

このケースについて、まちがった解釈を記事にしてしまったので、こちらの記事を修正し、その経緯をこちら(https://www.shizenyama.com/howtotrial/trialrule/22838)に記載しました。もうしわけございません。

これまで、ゲート間のテープについては規則の判例集に載っていたが、規則の条文そのものにはなかった。2017年規則からは、トライアル競技規則5-6に明記されているので、このテープを飛び越えたり切ったりしたらだめよという、ごく常識的な解釈で問題ないようだ。

■安全装備などに関すること

安全条項については、変更点が多い。とはいえ、これまで全日本などに出ていたライダーが、特に新たに準備しなければいけないことはないようだ。ただし、2018年に向けての変更もあるので、知らん顔はしていないほうがいい。

ヘルメットにGoProなどのカメラを装着するのはNGになった。これまでもこの種の規制はあったはずだが、トライアル競技規則に明記されたということだ。そして、各種プロテクターの装着が強く推奨されることになった。背中、胸、肩、肘、股関節などである。強く推奨なので、2017年は装着していなくてもペナルティはないが、2018年以降に義務化となる伏線であるのはまちがいない。

マウスガードも強く推奨となっている。マウスガードは強く推奨のまま、なかなか義務化とならない。それぞれ歯形に合わせたマウスピースを作る必要があるので、導入には慎重なのかもしれない。

■環境への配慮

世界選手権では何年も前から導入が進められていて、全日本でも強く推奨などされていた環境マットが、今年から義務化となる。オイルやガソリンが地面にこぼれることを防ぐもので、車体全長とハンドル幅以上のもので、ビニールシートなどを使用した場合は吸収素材シートを準備すること、などとなっている。環境マットについては、素材や使用について、モトクロス、トライアル、エンデューロで少しずつ記述のニュアンスが異なり、世界選手権ではまた別の解釈が発生するかもしれない。

■全日本選手権レディースクラスの参加資格

レディースクラスは、これまでNA資格を所持しているライダー、もしくはこれに準じるライダー(2016チャンピオンの西村亜弥はIB経験があるが、現在のライセンスはNBだ)となっていたが、これが改められ、地方選手権に出場しているライダー、もしくは地区委員が推薦したライダーということになった。

NA昇格一歩手前のライダーが数多くいるなら将来にも期待が持てるが、NBでポイントを獲得する女子ライダーも数少ない現在、このままではレディースクラスの発展は望むべくもなかったわけで、この改定は妥当なものだ。

地方選手権に出場が条件ということは、無得点ライダーでも参加ができるわけで、事実上無条件に参加ができることになる。普及という点では大きな前進と評価できるが、全日本選手権の中でのレディースクラス、IASのトップクラスからNBの無得点圏ライダーまでの安全を守らなければいけないセクション設定者は悩み多きシーズンになりそうだ。

以上、新しい規則のあらましはこんなところ。競技役員や主催者に気分で文句を言ってるライダーもときどきみかけるけど、役員も主催者も、そしてライダーも、できたら観客も、規則についてはしっかりお勉強しておきたいものだ。

なお、入れ墨を露出してはいけない、なんて規則もあるから、もし該当する人がいたらご注意を。ただ、モータースポーツは長袖長ズボンを着用するのが基本だから、もし入れ墨をしていたとして、どんなふうに露出してしまうのかは興味深いところだが、そんなことはモータースポーツとはあんまり関係ないので、今回はスルーしておく。

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