2008年、世界選手権も最終戦。シリーズの動向はすでに大半が決定づけられているが、どの選手も有終の美を飾ろうとして、試合の前の練習風景も、いつにもまして加熱している。中でも圧巻は、2007年世界チャンピオンにして、ここスペインでも2連覇を達成しようというトニー・ボウ。その常任離れした技には、ますます磨きがかかってきている。
トニー・ボウの真骨頂といえば、ダニエルである。彼の場合、ダニエルに限ったことではなく、すべてのテクニックが飛び抜けているのだが、他のライダーがやりたくてもできないことといえば、やはりダニエルを多用したセクション攻略だ。ダニエルは、いうまでもなく前輪が着地ないままアクションが続く。前輪を置くスペースがないセクションでは、こんなに有効な技はない。岩飛びのように、後輪がのるスペースしかないポイントを次々に攻略していくのにも有効だ。これまで、ダニエル上手といえば、アルベルト・カベスタニーだった。カベスタニーには、ダニエルをお遊びテクニックから実用テクニックにまで昇華させた功績がある。しかし今、ボウの登場で、カベスタニーのダニエルも輝きを失っている。ボウのテクニックになんとかついていこうと努力を重ねるのは、アダム・ラガと藤波貴久、ふたりの近代チャンピオンたちだ。今、ダニエルは単に前輪をあげたままぽんぽんとはずむテクニックではなく、(ボウら、ごく一部のライダーにとって)近代トライアルのすべての基礎となっている。これからは、ダニエル状態でぴたり止まれることも、トップライダーには必須となるだろう。
収録日/2008年9月19-20日・スペイン Casteolli(世界選手権最終戦開催地プラクティスエリア)
※解説、音楽はなくトップライダー達の世界最先端の練習映像のみ収録してます。
◎DVD 70分
◎2200円(税込)
◎JANコード/4560187780660
◎2008年 10月25日発売
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