雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

トライアル事始

うまくなるライディングフォーム

手放し

 スタンディングのお勉強は、ただ立つだけに終わりません。スタンディングスティルのまま手をはなせば、あなたはマシンの前後、左右方向、おいしいところに乗っていることになります。この感覚をからだで覚え込んでください。その意識を持ったまま、上りや下りを走れば、ライディングフォームもおのずと美しくできあがります。登り坂でまくれるのも、下りで前輪をとられて転ぶのも、実は正しい姿勢がとれていないからなのです。


 では、まず手を放す方法を伝授しましょう。ハンドルから手を離すとなると、これまでやってきた、ハンドル操作でのバランス修正はできません。両足で、微妙な荷重操作をすることでバランス修正をおこないます。足の裏の感覚は、現代人はずいぶん退化していますから、全身全霊を足の裏に向けてください。
 手を放すには、足の裏で左右のバランスをとるほか、ライダーの乗っている位置も重要になります。人間の重心がきちんとフットレストの上にないと、手を放すと同時に、ライダーは前か後ろに落っこっちゃうことでしょう。
 手放しでスタンディングスティルするのは、一朝一夕でできるもんではありませんから、あわてずに取り組んでください。ハンドル操作をしているうちは、フロントブレーキをかけたりすることもできましたが、手を放すのですから、それもできません。すべての操作をていねいにおこない、マシンに極力よけいな力をかけないように、少し気長にやってみてください。
 手を放せるようになったら、あらためてそこからハンドルに手を添えてみます。ハンドルに力は入れませんし、体重を、ハンドルで支えることもしません。あくまでも、体重はフットレストで支えます。
 体重を支えるためでなく、ハンドルに手を伸ばす。そう、トライアルマシンに乗っているときは、まさにそんな感じです。今は平らな地面で、ハンドルを切った状態でトレーニングしていますが、この感覚をつかめば、斜面でも、ハンドルがまっすぐでも、いつでも美しい基本姿勢をとれるようルナることと思います。

輪を描く

 ハンドルに添える手は、外側から握ります。包丁や金槌を持つのといっしょ。こう握ると、アクセルを全開にしても、ひじが下がりません。
 こう握れば、さらに上半身とハンドルが大きな輪を作ります。路面からの衝撃は、この輪っかが収縮することで吸収します。腕がつっぱって、二等辺三角形になっていると、地面のデコボコでちょっと前輪をはねられただけで、上半身がぐらぐらしちゃいますね。正しい姿勢で乗ることが、トライアルライディングを楽ちんにしてくれるのです。
 ハンドルを外側から握れば、ハンドルを握るのは手のひらと小指、薬指が担当します。人差し指や中指は、遊んでいます。クラッチとブレーキのレバー操作は、人差し指(と中指)でおこないなさいと言われているのには、この日本の指が、ハンドルを握る仕事から開放されていることが多いからです。
 足元では、マシンとブーツの間に少し余裕を持たせましょう。トライアルは激しいアクションをしますから、足元でがっちりはさんじゃったりしたら、その動きを規制しちゃうことになるからです。 
 以上が、トライアルマシンに乗るときの、正しい姿勢の解説です。

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