2015年モデルのベータ4Tが日本に入ってきて、試乗することができた。ベータ4Tは、その名の通り4ストロークエンジンを搭載するモデルで、2ストロークの他のベータマシンとは、ずいぶんと性格を異にする。
ベータの4Tモデルが世に出たのは2007年。モンテッサが4ストロークモデルのCOTA 4RT(ホンダRTL250F)を発売したのが2005年、同じ年、シェルコも4ストロークマシンを世に出している。当時は世界の流れが4ストローク化に向いていて、すべてのメーカーが4ストロークエンジンの開発を進めていた。そして2年の後、ベータも満を持して4ストロークエンジン搭載のトライアルマシンを発表した。
エンジンはまったくの新設計で、2ストロークモデルと同様のフレーム(当時はREV-3後期型)にコンパクトに収められていて、250ccはたいへんにマイルドな特性を持っていた。一方300ccは世界選手権にも通用するパワーが自慢で、現在FIMのセクション査察員をやっているインストラクター、ジョルディ・パスケットのライディングでポイント圏内の成績を残している。
その後、2009年にベータは軽量フレームEVOを発表するが、4ストロークモデルもこのEVOフレームに搭載されて現在に至っている。EVO 4Tとしては7年目のモデルということになる。
2ストロークモデルとちがって、4Tは他の多くのマシンと同様に右側にキックがついている。ベータの2ストロークモデルは左キックが外観上の大きな特徴で、リヤブレーキを踏みながら指導できるというメリットがある反面、始動に若干の慣れが必要でもあったから、右キックはこれはこれで歓迎する人も多いだろう。
2ストロークモデルと4ストロークモデルは、基本的に同じフレームを使い、マシンの基本骨格も同じ。パワーユニットだけがちがうということになる。2ストロークモデルは2015年型となってサスペンションなどが変更を受けているが、この4Tは、カラーグラフィックなどは2ストロークモデルの2015年型と同様ながら、2014年モデル同様のリヤサスユニットを使っている。
今回日本に入ってきたのは250ccモデルで、その出力特性はたいへんにマイルド。攻撃的なセクショントライに、というよりトレッキング用途などに適した性格づけとなっている。もちろん本気でトライをすれば、そのあたりの2ストロークモデルに負けない戦闘力は持っている。
エンジンは水冷4ストローク4バルブSOHC単気筒。吸気は負圧式キャブレターを使っている。このキャブが、マイルドで扱いやすいエンジン特性を実現している。エンジンの負圧に応じてピストンが開くので、アクセルレスポンスはちょっとおだやかだが、息つきやぼこつきも充分に解消されていて、乗りやすいマシンとなっている。
ガソリンコックは電磁式で、通常は自動的にガソリンが流れ、エンジンが止まれば燃料供給も停止する。ガソリンコックを通常以外に切り替えるのは、エンジンの整備などして、キャブレターの中にガソリンが空っぽになったときだけだという。
サスは前後ともにSACHS。その特性などは、以前から使われていたパイオリと似たものだという。
ブレーキはグリメカ製。グリメカ製品を使うメーカーは、いまやベータだけとなっているが、実績のあるものを前後に使用している。
価格は4ストロークだけあってちょっと高め。されど、大会を戦う道具としての消耗品としてではなく、愛車として所有できる性格を思えば、あるいはこの価格もリーズナブルと納得できるものかもしれない。
税込 | 税別 | |
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Evo4T300 | 1,058,400円 | 980,000円 |
Evo4T250 | 1,047,600円 | 970,000円 |
スペック | |
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Frame | Single wave alminium beam |
Wheel base | 1305 mm |
Max length | 1990 mm |
Max width | 850 mm |
Max height | 1115 mm |
Seat height | 660 mm |
Ground clearance | 310 mm |
Footrest height | 348 mm |
Fuel tank capacity | 2.8 L |
Reserve | 0.5 L |
Cooling system capacity | 600 cc |
Front suspension | Hydraulic fork with ø38 mm shaft |
Rear suspension | Monoshock |
Shock absorber stroke | 60 mm |
Front wheel travel | 165 mm |
Rear wheel travel | 180 mm |
Front brake | disc ø185 mm with 4 piston caliper |
Rear brake | disc ø160 mm with 2 piston caliper |
Front rim | 21 x 1.6 – 32 holes |
Rear rim | 18 x 2.15 – 32 holes |
Front tyre | 2,75 – 21 |
Rear tyre | 4.00 R 18 |
ENGINE | BETA |
Type | Single-cylinder, 4-stroke, 4 valves, liquid cooled |
Bore | 77 mm |
Stroke | 53.6 mm |
Displacement | 249.6cc |
Compression ratio | 11.5:1 |
Ignition | Electronic |
Spark plug | NGK CR7EB |
Feeding | with carburettor |
Carburettor | Mikuni |
Spark advance | Variable |
Clutch | Wet multi-disc clutch |
Primary trasmission | Z. 18/63 |
Transmission | 5 speed |
Secondary trasmission | Z. 11/42 |
Engine oil | SAE 15W/50 (900 cc) |
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